愛と死の妄想 悲壮耽美な情景  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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2012年 09月 11日 ( 1 )

皺腹

「貴女様への淫ら懸想断ち難く、腹切りお詫び申し上げます。」
彼はそう言って礼をした。
「そなたの想い見せて貰いましょう。」
立ち会いは姫一人、一間余り離れて座している。

肩から脱ぎ落とした白衣の袖を膝に敷き込む。
鍛えられたとわかる肩と胸、見下ろして引き締まった腹を揉んだ。
家伝来の備前長船尺三寸、刃先を残して懐紙に巻き込む。

「参る。」
刃先を滑らせて脇から切り入る。
御前での覚悟の切腹、無念腹になってはならぬ。
浅ければ苦痛は少ない、甘美陶酔の痛みだという。
左脇から下腹八寸余り右脇までも切り割いた。

緊張と失われた血が、意識を朦朧とさせた。
俺は今、姫の前で切腹している。
それは彼が長い間夢見たことだった。

彼は欲情の兆しを感じた。
手を股間に這わせると、彼のそれはもう硬度を持って勃っている。
血に濡れた指がぬるぬるとそれを握った。
「果てるがよい。」
姫の声がした。
握っているのが自分の指か姫のそれかはもうわからなかった。
苦しみはなかった。
長い間幸せな夢を見ていたように思った。

姫が慈悲の刃で介錯をされ、彼の魂は一気に宇宙に弾け散った。
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by kikuryouran | 2012-09-11 03:50 | 男のharakiri | Comments(20)