愛と死の妄想 悲壮耽美な情景  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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奉公覚悟


「小夜、そなたに切腹を命じます。この場にて潔く果てますように。」
「承知仕りました。」
女は平然とした足取りで庭に下りた。
「見苦しくは御座いますが、御免くださいませ。」
女ばかりが見守る城の奥庭、腰元衣装の帯紐解き緩めて肌着姿になった。
「桔梗、介錯を。存分に致させよ。」
桔梗と呼ばれたのは女ながらも太刀打ちの上手(じょうず)、たすきを架けて小夜の後ろに立つと、側から太刀が差し出される。
「姫さまお声にて介錯仕ります。存分に致させよとのお言葉、よろしければお声をおかけなさいませ。」
「承知いたしました。お手を煩わせ申し訳御座いませぬ。」
身体を捻じって会釈をすると、前肌開いて膝を割る。形よく整うた乳房がこぼれ、白くも引き締まった下腹まで充分に押し開いて懐剣の鞘を払う。
「姫さま御意により、切腹仕ります。」
凛とした声音涼しく、整った顔立ち瞑目して胸元から下腹際までも撫で下ろした。頂に桃色の果実固く清らかに乳房微かに震えて、息づく窪み愛らしくも乙女の肌がおののきを感じさせた。刃の先一寸を残して、懐紙に巻き込まれた刃を握り締めて腰を浮かす。
「いざ!」
見詰める姫に会釈の後、勢い付けて突き立てる脇の壷。
「うむ、うむうううう。」
気合いとも呻きとも聞こえて、美しい顔が歪み、腰尻揺らせて引き回す臍の下辺り、切り後から白い肌を伝うすだれの血。桔梗は手馴れた様子で、介錯の太刀緩やかに垂らせてその機を覗う。
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小夜に落ち度があったわけではなかった。その日、姫さまの前で武家奉公の覚悟を問われた。
「覚悟はただ、女にても腹切る覚悟一つ。御意あればいつにても。」
しばらく顔を見ていた姫さまが切腹を命じたのであった。

小夜は腹一文字に切り裂いて抜き出した刃を、袖で拭い鞘に納めた。手をつき屈んで首を前に伸べる。
「お願い・・申します。」
苦しげに後ろへ声をかける。御殿髷に結い上げた髪少し乱れて、白くもたおやかな細首は汗を噴いて震えている。
「お覚悟!」
ゆっくりと振り上げた白刃が一閃して首を刎ねた。血が飛沫き首が飛んで、残された胴がしばらく痙攣して止んだ。
「覚悟、確かに見届けました。」
姫様は何事もなかったように席を立たれた。

「そのように理不尽な。」
次第を聞いて、小者が声を荒げた。
「いや、それでよい。武家奉公はかくのごとしじゃ。理は知らぬ、主に死に場所を与えられて死ぬる。それでよい、教えた通りようしたな。」
娘の亡骸を受け取って、初老の武士は小夜の首を愛おしそうに撫でた。
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Commented at 2009-06-15 01:55 x
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by kikuryouran | 2008-06-18 22:28 | 女腹切り情景 | Comments(1)