愛と死の妄想 悲壮耽美な情景  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
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血塗れた女陰

彼女は腰を上げ伸び上がると、両手で握り締めたナイフを一気に腹にたたきつけた。
「うむっ、うむうううううう・・・。」
刃先が深く沈んで血が滴る。顔が歪み黒く長い髪が揺れた。
呻きながら臍の下まで割くと、柔らかい膨らみが裂かれて一気に血が溢れ出した。
「苦しいか。」
私は思わず声をかけた。
「思っていたほどでもないわ。」
彼女は顔を上げて横に振る。美しい顔が凄絶に笑ったように見えた。
「愛している、あなたを愛しているの。」
傷口がめくれるように開いて白い脂肪層が見える。
「ううっ、うううう。」
苦しげに呻いて目をつぶった。肩が震えて乳房が揺れる。
ゆっくりと脇まで切って刃を抜き出す。うねうねとはらわたが溢れ出す。極彩色の臓物さえもが垂れ始めた。

私は止めたが、女は死ぬと言ってきかなかった。
「あなたを愛している証しに、お腹を切って死ぬわ。」
彼女は思い詰めたように言って私を見詰めた。
「愛の証しに・・・お腹を・・・。」
私が言葉を繰り返すと、彼女は頷いた。
「私にはもうこれしかないの。どれほどあなたを愛しているか見てもらうにはね。」
一年ほどの恋だったが共に家庭があった。女は私より二つ上だった。
その日、夫が気付いて女を責めた。絶対に別れないと言われて、言い争いの弾みに夫を殺してしまったという。だから死ぬしかないと言った。
「遺書は書いてあるわ。最期を見届けて帰れば、あなたに迷惑はかからない。」
怖いなら見ずに帰ってもいいと彼女は言った。私は怖かったが、彼女が意識を失うまでは見届けて部屋から逃げた。
翌日殺されている彼女の夫が発見された。しばらくして裸でお腹を切った彼女が見つかった。遺書から無理心中として処理され、私と彼女とのことは誰にも知られずに終わった。


あの時彼女は、きっと私にも一緒に死んで欲しかったのだろうと思った。あれから何度も夢を見た。彼女が愛していると叫びながらお腹を切っていた。開いた脚の間から血に濡れた女陰が誘っているように見えた。妻と別れて、私は彼女の元に行こうと決めた。

用意していたナイフを前に置いて座る。側に彼女がいた。
「遅くなったけど、これから行くよ。」
私が言うと彼女が嬉しそうに頷いた。
素肌に着けたワイシャツの前ボタンを外して腹を揉んだ。不思議に死は考えなかった。彼女と会えるときめきだけを感じていた。
さすがに手が震えて、何度も躊躇いの傷をつけた。
「大丈夫、苦しいのはほんの一瞬よ。あなたの愛も見せてちょうだい。」
励ますように彼女が言った。
浅く膚を切った。チクリとした痛みが走る。下腹に生温かい血がゆっくりと流れるのがわかった。のしかかるように突き入れた。激痛が襲った。

もう苦痛は去っていた。
真っ赤な女陰が口を開いて私を呑み込んだ。柔らかい肉襞が収縮を繰り返して、全身がペニスになった私はゆっくりと洞窟の奥に吸い込まれていく。
「待っていたわ。」
彼女が包み込み締め付ける。私は快感に震えながら生命のすべてを注ぎ込んだ。
暗闇が訪れて、私は心地良い眠りに落ちた。
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by kikuryouran | 2008-02-29 04:25 | 心中情死 | Comments(0)