愛と死の妄想 悲壮耽美な情景  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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畜生成敗


「ご依頼はそなた様か。」
呼び出された寺の離れ、平四郎が部屋に入ると男と女が待っていた。
「古賀平四郎殿か。据え物の腕をお借りして、首二つの始末をお願い申す。ここにおります女と、拙者の首を刎ねていただきたい」
平四郎は値踏みするように二人を見る。浪人者と見える男は三十路前、女は上の年頃か。寺には後の始末を頼んだという。
「首一つ一両申し受けるが。」
「これは我らが有り金すべて、それぐらいは入ってござる。」
男が財布を前に置いた。
「自害出来ぬご器量とも見えぬが。」
「お恥ずかしいが、われ等は不義者、色に狂うた外道でござる。人としてではなく、畜生としてご成敗願いたい。」
覚悟も出来たと見える二人が頭を下げた。
「その首の刎ね様、拙者にお任せ下さるか。」
「お任せ申す。」
「承知いたした。」
平四郎は前に置かれた財布を懐に入れた。

「房事を拝見致したい。」
平四郎は平然と言った。男と女が顔を見合わせた。
「任せると申されたはず、従っていただこう。」
否やを言わせぬ響きが込められていた。
しばらく躊躇った後、男が女の帯に手をかけた。襦袢姿で横たえる。
「色に狂うた畜生なら、恥ずかしくもござるまい。脱がれよ。」
非情な言い様に、女が覚悟を決めたようにすべてを脱ぎ横たわる。年増ながら女の身体は引き締まり、脂肉を感じさせなかった。乳房豊かに柔らかく、女陰を覆う濃い叢が目を惹いた。男は肉薄くも鍛えられたとわかる肉付き。まだ萎えた男根が股間に垂れている。
「お内儀、今生最後と心得られて抱かれるがよい。」
うって変わった優しい声だった。
「醜うございましょう。」
「男と女が睦み合う姿は美くしゅうござる。恥ずかしくはござらぬ。」
「私は淫ら鬼女でございます。地獄の業火に焼かれましょう。」
「その御仁(ごじん)にはそなたは菩薩、必ず共に極楽にお送りいたす。」
女が嬉しそうに微笑んだ。

二人はもう平四郎は見なかった。女の指が男を大事な物のように包み込む。やがて雄々しくも屹立を果たした。
「悔いませぬ。無間地獄に落ちるとも後悔などは致しませぬ。」
うわ言のように女が言ってしがみつく。
「わしとて悔いぬ。共に逝こうぞ。」
今生名残りと思えば愛おしさが募る。もう獣の如く確かめ合い、肌と肉とが溶け合うて歓喜の喘ぎを上げた。大きく開いた女の脚が男を抱え込む。柔らかい肉が下から男を呑み込むように蠢いた。

身体を貼り合わせて、二人の腰が動きを合わせて律動を始めた。
頂きに昇り詰めようとして女が見上げる。見下ろす平四郎と目が合った。男の動きが激しくなる。男が迸るのを感じて、女が男にしがみつく。抱き締めて口を吸った。
光る太刀がゆっくりと落ちてくるのを女は見上げていた。男の首に打ち下ろされた刃がそのまま自分の首を切り落とすのがわかった。口を吸い合って二つの首は重なり落ちた。

「坊主、そこに居るのであろう。入るがいい。」
「平四郎殿も気がきかぬ、庭で仕舞えばよいものを。部屋が血まみれ、後の始末が難儀じゃわ。」
「充分に布施をせしめたであろうが。」
「畳や建具も血に濡れて新しくせねばならぬ。」
平四郎は、男から受け取った財布を二両抜いて放り投げた。
「これだけあれば足りよう。衣類脇差の類も金になる。」
「これはありがたい。懇ろに弔いましょう。」
「生臭さ坊主めが。」
笑いながら平四郎が言った。
「しかし、これは極楽往生間違いなしじゃ。胴は繋がり、首も心地よさそうにまだ吸い合っておるわ。いつもながら見事な手際じゃな。」
重なった二人の首からはどくどくと血が流れ出し、脚はしっかりと絡み合わせて菊座陰部を晒していた。重なる臀部がまだ痙攣を続けている。
「情の濃い女であった。俺も廓にでも繰り出さねば治まらぬ。こちらも物要りな。」
膨れた股間を押さえて、古賀平四郎は苦笑しながら部屋を出ていった。
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by kikuryouran | 2007-11-10 18:14 | 平四郎 | Comments(0)