愛と死の妄想 悲壮耽美な情景  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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公開処刑

「もうすぐあそこで公開処刑が行われます。」
ガイドはそういってホテルの窓から前の広場を見下ろした。
この国は国交もなく秘密のベールに包まれている。しかし観光客が絶えなかった。その理由の一つが公開処刑だった。
「できれば部屋から出ないで、窓から見てください。群集が興奮して危険があるかもしれません。映像は撮らないで下さい。万一映像を外に漏らすと、国外にいても収監されます。その誓約書にもサインをお願いします。以前ここの処刑がマスコミに流れた事がありました。撮った人は国外に居たのですが、理由を問わず強制収監されました。」
「どのような方法で処刑されるんでしょう。」
「方法はいろいろです。罪の種類や重さ、身分情状でも変わります。斬首、絞首刑、磔刑、いろいろです。短剣を与えて自決を強要させる場合もあります。」
「自殺させるんですか。それが最も寛大ですね。」
「いえ、それが最も残酷です。衆目の中で、人の手を借りずに死ななければならないんですから。」
「しなかったら・・・。」
「水も食料も与えられませんから、餓死するしかないですね。気が狂って身体を切り刻んだ者もいます。自分の肉を食べた者もいました。やはり首を切り落とされるのが最も楽に死ねますから、選べる者はそれを選ぶ場合が多いですね。」
「選べるんですか?」
「身分や情状を酌量して選べる場合もあります。罪を命で償うということでは平等なんです。」


「どうだ、観光客の様子は。」
「はい、世界中で公開処刑をするところはありません。見たいという者は大金を払っても見にきます。」
「一人を殺す事で何千という国民が食べられるわけだ。」
「ただ、何度も訪れる客が同じ処刑ばかりでは飽きてしまうようです。リピーターが減っていますね。新しい処刑方法やサービスを考えないと。」
「先日提案のあった、猛獣に食わせるというのはどうなった。」
「試してみましたが、やはり空腹の猛獣はすぐに殺してしまうので趣きに欠けます。何匹も満腹にさせて同じ檻に入れるのがいいようです。腹が減ってきて得物を狙い始める緊張感がいいですね。やがて、奪い合いながら食べてしまいます。」
「プライベートサービスの方はどうだ。」
「客の好みに応じて、若い女や少年を個室で好きなように処刑させる案が有力です。市場調査では、料金はいくら高くてもいいという客がいます。それを隠しカメラで撮って、後で強請るということもできます。国に帰れば公にはできない者が多いですから。顧客管理はパスポートから行いますから完璧です。ツアーの募集ルートもほぼ出来ています。」
「死刑囚の供給はどうなっている。」
「今のところ問題はありません。治安はよくなっていますが、刑法のハードルを下げればいくらでも。自殺志願者もいますからそれを回す手もあります。違法に入国した者や観光客の中に違法行為をした者もいます。観光客の場合は行方不明にすれば問題ありません。警察と外務省には確認済みです。」
「処刑場所を何ヶ所か増やさないと観光客をさばききれないな。建設を急がせるように。」
観光局の会議は遅くまで続けられた。
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by kikuryouran | 2007-10-15 18:27 | 処刑 | Comments(0)