愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
プロフィールを見る

紅葉山心中


細い山道を、彼は無言で前を登っていく。
私は、揺れる彼の背中だけを見て歩いた。
しばらく歩いて、小さな滝壺の傍らに出る。
私が草の上に横になると、彼が覆いかぶさってきた。
彼の後ろに、紅葉に彩られた山と小さな空が見えた。
もう私は、すべてを委ねて目を瞑った。


[PR]
# by kikuryouran | 2015-11-05 00:28 | 心中情死 | Comments(0)

優しい男


彼の高級車は景色のいい道を滑るように走った。
食事も美味しかったし、運転も上手だった。
カップルの車は、恋人たちの休憩所に次々と吸い込まれていく。
私が一度首を振っただけで、彼は通り過ぎた。
私は勝負下着で万全だったのに。
優しすぎる男も困ったものね。


[PR]
# by kikuryouran | 2015-11-04 04:55 | 平成夢譚 | Comments(0)

最期の男


私は長い間、自分が女だってことを忘れていた。
貴方は最期にそれを思い出させてくれた。
久しぶりのセックスは、初めての時のように緊張したわ。
あなたの腕の中で私は何度も死の擬似体験をした。
そして私は今、自らの手でこの世を去ろうとしている。
ありがとうあなた、私は永遠にあなたのものよ。


[PR]
# by kikuryouran | 2015-11-03 02:58 | 平成夢譚 | Comments(0)

ホテルのバーで


彼らはカウンターの隅に座って、顔を見ないで話していた。
男はさりげなく周囲に気を配っているのがわかる。
「私は今も愛しているわ。」と女が言った。
女がカクテルを飲み干し、部屋の鍵を置いて席を立った。
男はその鍵を見ながらしばらく考えていた。
彼はグラスを一気に呷って鍵を手に取った。


[PR]
# by kikuryouran | 2015-11-02 01:18 | 平成夢譚 | Comments(0)

女の嫌々


彼は私を押し倒した。
押さえつけられた私は、彼としばらく見詰め合って嫌々をした。
私は気付かれないように、自分の服のフックを外した。
ことが終わって、泣いている私に彼が言った。
「俺、責任取るからさ。」
「きっとよ。」と私は何度も念を押した。


[PR]
# by kikuryouran | 2015-11-01 00:26 | 平成夢譚 | Comments(0)