愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
プロフィールを見る

<   2017年 11月 ( 4 )   > この月の画像一覧

虐殺の記憶

数百人もの兵隊が我々を取り囲んだ。
逃げようとして、何人もが情け容赦なく射殺された。
数人づつ横に並んで床に腰を下ろさせられた。

一斉射撃の銃声が響く。
その度に前から何人かが連れ出されていく。
それが何度も繰り返された。
連れ出された人たちが殺されているのは明らかだった。
私は、隣にいた見知らぬ若者の手を握り締めた。
「怖いの、お願いだから握っていてちょうだい。」
彼は私の手を握り返して身体を寄せてくる。
私は彼の股間で突き上げているものに気が付いた。
死の恐怖が、男性のそれを勃起させると聞いたことがある。
「僕も怖いんです。」
彼は私の手をそこに導いて、訴えるように言った。
私はコートの中で固く逞しいそれを握ってやる。
彼の手を私の腰に回させた。
「君の名前は?」と私が顔を寄せて訊いた。
「ジョセフ・・・。」と恥ずかしそうに彼は名乗った。

もう助かる可能性はなかった。
低いお祈りの声があちこちで聞こえている。
人々は、必死に死の恐怖に耐えていた。
何度目かの銃声が響いた瞬間、私の手の中で彼が震えながら情水を放つのがわかる。
私は優しく手を動かせて、唇を合わせてやる。
彼は全身を痙攣させながら精水を吐き続けた。
「ごめんなさい・・・。」
彼は恥ずかしそうに私の耳元で囁いた。
「いいのよ、恥ずかしい事じゃないわ。」
私と彼は不思議な安息感でしばらく見詰め合い、そしてまた唇を重ねた。
彼が私に言った。
「あなたの名前を教えて下さい。」
私は彼の美しい目を見ながら言った。
「ナオミ、忘れないでね。」
抑揚をつけた言い方で、彼は私の名を何度も復誦した。
私たちは肩を寄せ合って自分たちの順番が来るのを待った。

私たちは追い立てられて外に出た。
既に銃殺された人々が、周囲に倒れていた。
私と彼と数人の男女が、長いレンガの壁際に並ばされる。
一人に数人づつの射撃手が、私たちの前で整列していた。
それはいつか映画で見た、虐殺の光景そのままだった。
私は射精の記憶が残る指をスカートの下に潜らせて彼を見た。
「さよなら、ジョセフ。」
「ナオミ・・・。」
何かを訴えるような目で彼は私を見詰めている。
突き上げる快感を感じて、私は彼にそれを伝えようとした。
その瞬間、一斉射撃の轟音と共に記憶が途絶えた。


[PR]
by kikuryouran | 2017-11-28 22:46 | 処刑 | Comments(2)

愛の記憶

日本が敗戦してひと月程も経っていた。
秋の気配がする早朝、大内礼子は割腹自決を遂げた。
夫の大内武夫中尉は、終戦間際に戦死している。

もう深夜に近い。
礼子は斎戒沐浴して、白単衣を素肌に着けた。
既に奥の六畳に支度は調えていた。
ここは夫婦の寝室に使っていた部屋だ。
この部屋で初夜を迎え、夫と最後に過ごしたのもこの部屋だった。

幼い頃からの許嫁で、彼女が女学校を出るとすぐに華燭の典を挙げた。
「俺が戦死しても、取り乱してはならない。」
彼は軍人の妻の心得を説いた。
「その時は、私もお後を追います。」
夫の手を自分のお腹に這わせて、新妻は誓った。
それは彼にとって、最も嬉しい言葉だった。

逞しい胸が私を抱きしめた。
固く勃った愛の徴しが私のお腹を突き上げる。
それは愛する人の健康な欲情だった。
私は全てを捧げる喜びを味わった。
彼は男らしい直截さで私の中に押し入ってくる。
濡れた花弁が受け入れ、二人がしっかりと結ばれる。
その時私は彼の肉体の一部になり、彼は私だけのものだと実感できた。
それは陶然とした一体感だった。
これが前の世から決められていた運命だと、その時私は確信した。

彼がいるような気がして、周囲を見回してみる。
戦死の知らせは、まだ数日前に届いたばかりだった。
真新しい白木位牌が目の前に置いてある。
「これから、あなたとの約束を果たします。」
彼はきっと自分を見守ってくれている。
そう思うだけで、どんな苦しみにも耐える勇気を与えられた。
f0035462_20214739.jpg
礼子は座を占め、前肌を開く。
彼の手で押し開かれたような気がして、少しときめく自分に気付く。
ゆっくりと腹を撫で揉んで、切り割く辺りを確かめる。
愛撫された指の感触を思い出す。
彼女にとっては、すべてが彼との愛の行為だった。
用意していた短刀を手に取った。
ずっしりと手に馴染み、美しい光を放っている。
緊張で息が大きくなる。
瞑目して、しばらく息を整える。
身体が火照るほどに気が満ちてゆくのがわかる。
静寂がすべての時間を止めた。

腰を浮かせて、逆立てた刃にゆっくり身体を預けていく。
突き上げる刃は、まさしく夫の男根だった。
それは膚を割いて血を滴らせた。
「ウムゥゥゥッ・・・・。」
痛みは一瞬だった。
身体を捩りながら耐えた。
極度の緊張で汗が噴き、身体のすべてが強張り震えている。
傷はまだ浅い。
それでも、ついに切ったという安堵があった。

前に屈んで、短刀を両手で握る。
腰を揺らして横に割く。
思っていた以上の激痛だった。
叫びそうになるのを堪えた。
激しい痛みが間断なく襲う。
流れ出す血が意識を奪っていく。
白単衣は、赤く染まっていった。

その時、脳裏を不思議な既視感が通り過ぎる。
確かにどこかで同じような経験をしている。
それは懐かしい前世の記憶だと思えた。

朦朧とした意識で夢を見る。
もう苦痛は感じなかった。
愛する人に抱かれていた。
次々と人の顔が浮かんで消えた。
幾世をも生まれ変わり、巡り逢う魂の輪廻を悟る。
幸せな達成感が彼女を包んでいる。
心地良い闇がゆっくり訪れた。


[PR]
by kikuryouran | 2017-11-18 22:47 | 女腹切り情景 | Comments(4)

老醜ながら

お情けもって腹召せとのご状、有り難くお受け仕ります。

お目に晒すは恥ずかしき身なれども諸肌脱ぎ。
死に後れ、かくも醜く老いさらばえて候。
拝領の九寸五分押し頂いて、右手(めて)に握り。
切り割く辺りを左手(ゆんで)で揉み、息を調え尻浮かせて前屈み。
己が腹を一文字に切り割きます。
お許しあるなら、花を愛で慰めて逝きとうございます。
最期は、胸刺し貫いて果てる覚悟なれども。
お手をお貸し下さるも苦しからず。

前の世の縁(えにし)や、波漂うてめぐり逢い
互いの心覗き合い、浅ましくも色に狂う
今生は夜毎の夢の通い路に、秋の葉の散り舞うて老いの坂
拙くも手の運び、介添えられて次の世は
永久(とわ)の契りを楽しみに、必ずお待ち申します。


[PR]
by kikuryouran | 2017-11-11 20:56 | 女腹切り情景 | Comments(1)

皺腹

「皺腹切ってお詫びいたす。」
胸元開いて下腹までも露わにする。
逞しい胸に幾つもの傷痕がある。
年寄り自慢の戦場傷、それぞれの傷に由来話がある。
脇差尺三寸、刃先残して幾重にも布に巻き込み逆手に握る。
片膝立ちに腰を浮かす。
切り割く辺りを確かめるようにしばらく撫ぜて息を整えた。
見守る者の目は一点に注がれた。
一瞬後にはそこが切り割かれて血に塗れる。
誰もが固唾を飲んで待ち構えた。
一気に突き立てる。
刃先沈んで血が滴る。
「うむぅぅぅっ・・・」
苦し気に身体が震え揺れる。
すべての筋肉が硬直していた。
痛みを堪えて横に割く。
「姫様、このように、・・・。」
脇から割いて中程まで届く。
「介錯してつかわせ。」
傍らの女中に姫が命じられた。
薙刀を脇に掻い込み女が庭に下りる。
「爺殿、介錯仕ります。」
「かたじけない。」
脇差を腹に抱えたまま、男は前に屈んで首を伸べる。
薙刀一閃、首は見事に飛んで血が吹き上がる。
頭部を失った身体がしばらく痙攣して血を流し続けた
首は姫の足元まで転がった。
「爺よ、見事であった。」
姫は満足そうに笑みを漏らされた。


[PR]
by kikuryouran | 2017-11-05 04:08 | 男のharakiri | Comments(4)