愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
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許嫁(いいなずけ)

源吾が訪れたのは夕刻に入ってであった。
「ご足労をおかけして申し訳もございませぬ。この家ももう私一人、このようなお願いを出来ますのはあなた様より他には思い浮かびませぬ。」
「切腹なさる覚悟と聞いたが、お心は変わりませぬのか。」
「父母すでに他界いたし、私が母代わり父代わりに育てて後を託さんとした弟が不心得にてお仕置きを受け、家禄は召し上げとのご裁可。お裁きには異論あるはずもございませぬが、せめてこの家の最後を飾りたく。女の身での切腹となれば見苦しき様を晒すやもしれず、ご迷惑を承知にてお立会いお見届けをお願い申します。」
「事情は承知、そなたとはひと時は許嫁であった仲、確かに承った。お心のままになさるがよい。」
「ありがとうございます。よろしゅうにお願い申します。」

元は大身の家柄、見事な仏間に自害の用意がしてあった。女は二十歳を過ぎて半ばの歳、女の盛りと言ってよい年頃。白無垢に身を包んで覚悟の死に装束。襖を払った隣の部屋に源吾は控えて見守っている。許嫁であったと言っても肌を交わしたこともなく、久しぶりに会った女はまぶしいほどに美しかった。
落ち着いた手捌きで帯を解き、前肌をあらわして腹切る支度を惑わずに進めてゆく。
「小夜殿、介錯はいかに。」
「お願いできましょうか、お手を汚しましょうが。」
源吾は太刀を執って後ろに立つ。
「言い遺すことがあれば聞いておこうか。」
「未練とお笑いくださいますな。父母が存命であれば、あなた様に添えたものをとそればかりが悔やまれます。」
「事故にてのご落命、運がなかったと言うしかないが。」
「我が家の都合にて、こちらからお断り致しておきながらこの期に及んでの未練でございます。お聞き流し下さいませ。」
「拙者もそなたを忘れた時はなかった。大事に臨んでよくぞ頼って下された。」
「あなた様の妻として逝きとうございました。せめてその御手で討たれるが幸せと・・・。」
「それゆえに腹を・・・。名は知らず、そなたは妻ぞ。次の世では必ずや添うてくれよう。」
小夜は肩越しに振り向いて頷いた。見交わす顔は嬉しそうに笑っていた。
「嬉しい事、必ずお待ち申しております。これにてもう想いを遺すこともなく。」

切腹刀を手に白い腹を撫でながら、小夜は大きく息を整える。
「声をかけるまでお待ち下さいますように。」
刃を滑らせて、切り割く肌から血が滴る。膝元に散る紅い花は破瓜とも見えて、悶える声は艶かしく新妻の閨のごとく。
「源吾様・・・。」
浅くも見事な一文字、前に屈んで差し出す細首。
「ようした、見事な切腹。逝くがよい。」
悲痛な気合と共に振り下ろす太刀の下、肩先から噴く血が部屋に散った。

数年を経て源吾は些細な事由で切腹を遂げた。止める者に「妻が待つ」と笑って答えたという。生涯妻帯はしなかったはずと皆首をかしげた。
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by kikuryouran | 2006-04-29 15:30 | 女腹切り情景 | Comments(0)

「黒い血」 その前  

女は派手好みの武家の妻女。今と違って三十にもなるとすでに年増と言われた頃、華美な小袖は武家には不似合いと見える。
元は大身の娘、わがままに育てられて男勝りで気が強い。幼い頃に決められた許嫁で夫よりも幾つか年上。美貌才気は若い頃から評判で性奔放、交遊も広い。
夫は無口な無骨者、武には堪能だが人との付き合いは苦手。妻の実家が家格も上、幼い頃から頭が上がらなかった。
妻には堅苦しい武家の日常には不満があった。夫には妻が理解できなかった。

女に不義密通の噂が流れる。事実であったのかどうか。女は言い訳もせず生活を改めることもなかった。
ある夜、季節柄花見でもあったのか、酔って遅く帰宅した妻を夫が詰問する。
「不義などと埒もない。私よりも世間の口をお信じなさいますのか。」
「事実はとにかく家の傷。出て行くがいい。」
「そなた様に疑われたまま家を出ては、私が認めた事になりましょう。証しを立てる術もございませぬ。腹の内をごらんなさいませ。」
「腹を切るとか。」
「お望みならば・・・。」
共に虫の居所が悪かったのかもしれぬ。売り言葉に買い言葉、女も引かず、いつもなら口では敵わぬ男もその夜は負けていなかった。
「介錯してやる、庭に出よ。」
「ありがたいこと、お願い申します。」
庭は見事な花吹雪。女はその時もう酔いは醒めていた。日頃からの鬱憤が胸に渦巻いていた。面白くもない日常が一気に噴き出す。自分の中の、抑えられぬ奔放な血を持て余している日々を思った。
花の下で腹切って死ぬのも悪くない。桜を見上げて、理由などもうどうでもいい気がしていた。
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by kikuryouran | 2006-04-24 02:57 | 女腹切り情景 | Comments(0)

黒い血


枝では桜の花が緑の葉と艶を競い、月がその枝の間から影を落としていた。絶え間なく風に花吹雪が舞い、庭一面に花びらが散り敷き詰められている。

もう三十路にかかろうか、華やかな小袖姿の女が引き据えられた。
「すでに人の口に上っては庇いもならぬ。せめてもの情け、腹切って詫びるなら介錯をしてやろう。」
すでに覚悟もついたのか、女は前を寛げ、思い切りよく諸肌をあらわした。白い肌が妖艶に浮き上がり、豊かな乳房が一挙手ごとに揺れた。鞘を払った懐剣の刃が妖しくも月に照る。
「腹切るともお詫びは申しませぬ。そなた様には女の心はお分かりにはなりませぬ。」
後ろに立つ男に聞こえるように、無念そうな声でつぶやいた。伸び上がるように腹を押し出し胸元から腹を撫でる。無言のままに男の太刀がゆっくりと鞘走る音を聞いて、恐怖の悪寒が背筋を走る。目を瞑り大きく息を整えた。下腹に当てた刃の冷たさを感じながら気を矯める。
一気に突き立てると激痛が走った。こらえながらも呻き声を漏らして前に屈む。
「うむううう・・・。」
美しいなで肩が悶え揺れ、乱れた髪が風に流れた。
鋭い気合と共に、太刀の切っ先が銀色の弧を描きながら振り下ろされると、首を切り放された肩先から真赤な血飛沫を噴き上げて、女の身体は伸び上がるようにゆっくりと後ろに倒れていった。膝が崩れて両脚が投げ出され、血に濡れた秘所までもが露わとなった。腹は半ばまでも裂かれて、両手で握られた懐剣を突き立てたまま上を向いている。目を開けたままの落ちた首が、うっとりと桜の舞う空を見上げているようにみえた。
「姦婦めが・・・。」
男は憎々しげに見下ろしていたが、血塗れた太刀を女の下腹子壷の辺りに突き立てると、まだ生きているようにヒクヒクと淫靡に腰が痙攣してやがて止んだ。抉り抜けば、どす黒い血が湧いて流れ出す。風が桜の花びらを運んで血に華やかな彩りを添えた。
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by kikuryouran | 2006-04-21 12:51 | 女腹切り情景 | Comments(0)

奇形の恋 前編


 第一回 ペニスを持つ女

シャワーを浴びて大きな鏡の前に立つ。いろんなポーズで自分に訊いて確かめる。
「どう?きれい?」
悪くは無いわね。胸の膨らみ、しまったウエスト、お尻の張りを確かめて鏡の中の顔が少し微笑む。うん、パーフェクト、一箇所だけを除いてね。私のピーちゃんが恥ずかしそうに黒い繁みから覗く。私はよしよしと撫ぜてやった。私は完璧な女性の身体にペニスを持っていた。
「エリカ、用意が出来たわよ。」
きっこが部屋に入って来る。後ろから抱いて首筋に唇を付けた。鏡を見たままで後ろ手に腰を抱き、首を曲げて口付けを受けてやる。鏡の中で並んだ顔が微笑んで目を合わす。
「きれいだわ。」
鏡に写った私の身体を見て彼女が言った。
「締めてあげるわね。」
私の返事も聞かずに、彼女は白い布を取って私の前に跪(ひざまづ)く。私は脚を広げて彼女の肩に手を置いた。慣れた手つきで私の股間に締め込みを着ける。
「まだ可愛いじゃない、あんなに大きく逞しくなると思えないわね。」
顔の前のペニスに軽く口付けして、膨らみの中に納めてくれた。彼女がかいがいしく私に白い単衣を着せる間、私は鏡の中の自分の姿を見ていた。

きっこと二人の切腹プレイはもう何度目だろう。。窓も壁もカーテンで囲い、床には白いシーツが敷かれ、三宝に置かれた切腹刀が中央に置かれている。私のマンションの一室は切腹部屋に拵えられていた。私は座に着いて控える。芝居がかりな彼女の言葉で切腹の申し渡しを受ける。
「お情けで賜る切腹、有難くお受け申します。」
私も調子を合わさなければならない。帯を解いて傍らに寄せ、腰紐押し下げて前を寛げる。逸る気を静めるようにゆっくりと、胸元の谷間から下腹のふくらみまでもあらわすと、部屋の空気が少しづつ重くなり、外の世界とは異次元の空間になっていく。プレイのはずの切腹がリアルな死の儀式になり、緊張高まり、擬刀は真剣の妖しい光を放っているように見える。気の昂揚がまさに昇り詰めようとする時、私は切腹刀を腹に当てた。私は息が詰まるような切腹プレイのこの瞬間が好きだ。

きっこを見ると、彼女も息を殺して私を見詰めている。無言のままに頷き合って、私は見下ろして腹を探り、両膝立ちに腰を浮かした。力を込めて突き立てた切腹刀が、はらわたまでも貫いた気がした。
「うむううう・・・。」
両手で握って切り回し悶えるうちに、片襟滑って豊満な乳房があらわれ揺れた。この時、私は演技のはずが死の影を見ていた。死の臨場感に生命が凝縮され、ヴァギナが震え収縮し、眠っていた男の性が猛り始める。膝元乱れてすでに男根は大きく膨らみ、締め込みを跳ね除けて雁首を覗かせていた。私は下帯を解いて、濃い草叢から逞しく屹立する男根を握り締める。噴き上げる快感を感じながら私は前に座る女と見詰め合い、指が恥ずかしい律動を始めていた。女の肉体が今、男の自決を遂げようとしていた。
「逝く・・・・。」
全身が震え痙攣して、私の男は精を吐き続けた。その瞬間、ヴァギナもまたアヌスと共に収縮を続けているのがわかる。張り詰めていた気が途切れて、私はゆっくりと前に倒れ込み、全身を覆う快感に身をゆだねて魂が降りるのを待った。

男の性を燃焼させて横たわる完全な女の造形に女はにじり寄った。すべてを脱がせて仰向けに寝かせ、萎えたペニスをなだめるように清めて愛液が溢れ出す女陰を拭ってやる。二つの性を燃え尽くさせて、エリカは目を瞑ってなされるままになっていた。
「あなたはやはり神よ。」
目を潤ませて、きっこは横たわる肉体を愛おしそうに撫ぜた。

陰の性をしか持たぬゆえに陽を求め、陽もまたしかり。陰も求めず陽も求めず、陰にも応じまた陽に応える。両性を併せ持つ神とも見える完全な性。浅ましくも淫らと見える他者との性の交合が一つの肉体で完結していた。


 検査

半年前、私は両性具現者の医療研究機関に法外な報酬で協力を求められた。自分の身体を知りたいと思う気持ちがあった私は、匿名であることを条件に承諾した。
私は身体の隅々まで調べられ、恥ずかしい局部の映像も撮られていた。
「驚きましたね、これほど完璧に両性を持っておられる例を私は知りません。」
担当の医師は検査の結果を見ながら言った。
「あなたのスペルマと卵子をいただきたいのでが、よろしいですか。後の事を考えて、採取するところを記録します。勿論公表する事はありません。」
もう決まった事のように彼は了承を求めた。私に異存はなかった。自分でも調べて欲しい気持ちはあったし、法外な報酬も貰っている。
「私はここに来る時に、どんな検査も受ける覚悟で来ています。」

冷たい婦人科の処置台のようなところに裸で寝かせられ、私は脚を広げて足首を固定された。
「念のために採取するところを映像に撮ります。合成だと言われないようにすべての覆いはかけません。恥ずかしいでしょうが我慢して下さい。では、卵子の採取をさせてもらいます。」
担当医師が冷たい声で言った。周囲をみると幾つものカメラのレンズをみとめられた。事前に陰毛はすべて剃られている。ここでは私はただの研究材料の個体でしかなかった。
冷たい器具が挿入されて、ヴァギナが大きく開かれた。固定カメラが股間を撮影しているのを見て、私は目をつぶった。近くの部屋ではきっと、モニターの前で多くの人が私の局部を見詰めているのだろう。無遠慮に奥まで器具が挿入されていく。もう恥ずかしさは感じなかった。楽しい事を考えようとしたが、涙が溢れて止まらず自分の身体を呪う事しか出来なかった。
「はい、終わりましたよ、ご苦労様でした。では、スペルマの採取にかかります。」
彼等には感情がないのだろうか。相変わらずの冷たい声だった。まるで映像に解説をつけるような口調だった。
「女性の看護士の手で採取しますがいいですね。」
自分の手で自慰をするつもりもなかったので、私は天井を見たまま頷くしかなかった。大きなマスクをかけた看護婦が入ってくる。手にはゴム手袋を着けていた。目に見覚えがあったが誰かはわからなかった。ジーッと乾いた音を立ててカメラが動くのがわかった。
薄いゴム手袋を透して、看護婦の指が男性器を触っていたが萎えたままピクリとも動かなかった。
「先生、マスクを外していいですか。」
聞き覚えのある優しい声だった。私は声の方を見た。剃毛をしてくれた看護婦だった。
「ごめんなさい。手袋は取れないの。」
彼女は私の横に身体を添わし、私の手が自分の身体に触れる位置に移動した。
「私がここに立てば、せめてあなたの顔はカメラから見えないわ。」
彼女は悲しそうな目で私を見た。ここに来て初めて、私を人間として見てくれる人がいた。
「もう死にたい。殺して・・・。」
どうしてあの時、そんな言葉が口をついたのかはわからないけれど、確かに私はそう言った。
「いいわ、私も切腹してあげる。」
「切腹・・・。」
私は彼女の目を見た。彼女は私から目を逸らさなかった。
「逝かせて、あなたの手で・・・。」
私は目を瞑って、ペニスをこする指に神経を集中した。手を伸ばすと白衣を透して肌温もりが伝わる。指の動きにつれて彼女の腰が揺れた。私が腰に手を回すと彼女は私を見て微笑んだ。
「逝って頂戴、恥ずかしい事なんてないのよ。」
やがて突き上げる快感が訪れ、男として私は果てた。


 完全な性

一応の検査を終えて、私はマンションに帰ってきた。研究機関が私のために用意してくれた部屋だった。しばらく私は週に一度検査に通わなければならない。翌日彼女が部屋に訪れてきた。
「約束を果たしにきたわ、入れてくれる?」
インターフォンから流れる声で誰かはすぐにわかった。

「あなたの剃毛をした時、お腹の傷痕を見たの。切腹プレイの痕だとわかったわ。私にも同じ傷痕があるの。」
白衣を脱いだ彼女はどこにでもいる地味な印象の女性だった。ブラウスを持ち上げて白い腹部を私に見せた。
「最近お肉がついてしまって恥ずかしいけどね。」
彼女には下腹に私と同じ微かな痕があった。
「あなたの男性が私の手の中で逞しくなったあの時、私はあなたに受け入れてもらえたと思った。あなたが死ぬのなら、私も一緒に死んでもいいと本当に思ったわ。どうしてそんな気持ちになったかは自分でもわからない。あなたはとても悲しい目をしていたわ。」
彼女は真剣な目で私を見ていた。
「私は奇形よ、生きている資格も無いわ、愛される資格さえも。」
「私はあなたの検査の結果を知っているの。あなたは完全な女で・・・、そして完全な男だったわ、肉体も機能も。」
「私は完全な女でなく、男でもなかったということなのね。」
「いいえ違うわ、あなたはわかっていない、あなたこそが完全なの。あなたこそが完璧な人間なの。すべての人に愛される資格があるということなのよ。」
「ありがとう、そんな風に考えた事もなかった。本当の友達になってくれる?」
「あなたの側にいられるなら私はどんな形でもいい、僕(しもべ)でも恋人でも友達でも。」

それまで、私には心を許せる友はいなかった。常に私は一人だった。自分は奇形だという意識が常に人を遠ざけ怖気づかせた。彼女にはすべてを知られ見られている事が、私の気持ちを和ませた。
「あなただけに恥ずかしい思いをさせているのは片手落ちだものね。」
彼女は本当に切腹プレイを私の前で見せてくれた。ふくよかとも見えた身体が萌え悶える様子は、私の男である部分を目覚めさせ、導かれるように男性として私は初めて女性との経験を持った。初めて抱く人肌は心地よく、抱かれれば心溶かせた。私は彼女にだけは身体も心もゆだねる事ができた。
「男と寝た事はあるの?」
私の胸から顔を上げて彼女は訊いた。直截な言い方だった。私は黙って首を振った。


 想い

私が精液採取のために部屋に入った時、彼女は悲しい目をしていた。剃毛する時に陰部はすでに知っていたが全身を見たのは初めてだった。ペニスが付いている以外は完璧な美しい女の身体だった。乳房は程よい大きさでお腹は無駄な脂肉を感じさせず、美しいヒップからはしなやかな脚が伸びていた。全裸で股間を広げられ足首を固定されて、男にはわからない惨めな姿勢だった。何台ものカメラが見える。彼女は心を閉ざしていた。私は同情の気持ちを伝えようとした。私の手の中で見事に屹立して精を放ったのはまさしく男のそれだった。私は不思議なものを見るように、改めて彼女の美しい女の肉体を眺めた。
初めての交わりは、私が導いて結ばれた。私は数人の男性との経験はあったが、女性と愛し合った事はなかった。憧れたことのある女性を思い出して抱き愛撫し、身体は男に抱かれた時を思い出していた。不思議な感覚だった。自分が男のように錯覚してしまう事もあった。自分が男に望んだ様に愛撫し、性具も使った。彼女はあくまでも女で、彼女の中に男の性が潜んでいた。私の性癖を受け入れてくれた事も嬉しかった。私はいつか彼女の身体に夢中になっていた。

きっこは私の唯一の友であり夫であり妻になっていた。私の子供を産みたいとさえ言ってくれた。彼女は切腹プレイを好み、私も同じ趣味だと思っていた。私は男として彼女と交わり、同性愛のように愛し合い、同じ趣味の者として切腹プレイを見せ合った。
若い頃、自分の奇形に絶望して私は自殺を企てた。男らしく死にたいとお腹を切った事があった。お腹に残っていた傷痕は、彼女が思ったような切腹プレイの痕ではなかった。彼女は、私が切腹プレイを自慰の手段としていると誤解していたが、彼女がそれを望むなら、私は本当に切腹してもいいとさえ思って彼女の望むままに切腹プレイを繰り返した。
私は自分の身体の変調に気がついていた。愛し合う度に女としての潤いが増え、男性としての喜びが大きくなった。一人で自分を慰めていた頃は女として果てる時と男として果てる時が別だったが、彼女と愛し合うと必ず両方の性が譲らなかった。私は私のすべてで彼女を受け入れ愛していた。
ゴム手袋を透して受けた指の愛撫を思い出す。マスクを取って身体を寄せてくれたのは、彼女の精一杯の優しさだと感じた。手に伝わる温もりだけが私の救いだった。あの時、私は彼女の思いやりに心を開いた。あの優しさを思い出すだけで私はすべてを許せた。あの時、私には彼女こそが神だった。
私には彼女しかいなかったし、もう彼女だけがいればよかった。
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by kikuryouran | 2006-04-14 09:51 | 同性愛 | Comments(0)

奇形の恋 後編

 監視役

「どうだね、うまくいっているのか。」
彼は笑いながら話しかけてきた。
「そろそろ、マスコミに出そうと思うんだがね。あれほど完璧な両性具有も珍しい。卵子も精子も通常の人間とほとんど変わらない。これが世の中に出れば大騒ぎになるだろう。私も忙しくなる、この研究所も世界中の注目を浴びるだろうな。」
「外部には出さない約束じゃないんですか?あの人が承諾するんでしょうか。」
「あいつが何を言っても、こちらは大枚の金を渡してある。しかし、あいつがあんな風に普通のセックスをするとはな。」
「あんな風に?」
「生態観察もしたかったので、あの部屋には隠しカメラが仕掛けてあるのさ。あいつは貴重な研究個体だからな。君も随分写っているよ。お前にもあんな変態趣味があったとはな。」
彼は薄ら笑いを浮かべながらおかしそうにそう言った。
「隠しカメラ・・・。」
「実は君に頼みがある。妊娠したらその受精卵が欲しいんだが。もちろん報酬は充分に用意するよ。精子も卵子ももう充分に採取したんだが、受精がなかなかうまくいかない。」
「人権問題にもなりますよ。」
「人権?化け物に人権なんてないさ。考えておいてくれないか、君が驚くほどのものが用意できると思うけどね。」
私は呆然と立ち尽くした。

私はただの看護士じゃない。最初は精子の採取と世話係、その後監視役として雇われて彼女に近付いた。性欲調査も仕事の内だった。しかし私にも隠しカメラの事は知らされていなかった。彼女はまだ気付いていないが、彼女は稀有な完全真正両性具有者だった。彼女の研究結果は人間の遺伝子研究、精神医学、性医学には貴重なものだ。このプロジェクトは思っていた以上に大きく、バックは巨大な闇を感じさせた。
私は彼女を裏切っている。すべての性行動は逐一報告して、報酬を与えられていた。切腹趣味は私の元々の嗜好で、彼女の最初の精液採取の時に何気なく口をついたのだった。しかし今ではもう、彼女にすべてを捧げて悔いぬと思うほど彼女に魅かれている自分に気が付いていた。この仕事が済んだら、私は彼女にすべてを打ち明けて詫びなければならない。私は償いにすべてを捧げて僕(しもべ)になろうと思っていた。
私は彼女をどれほど傷つけているか、まだ自分でもわかっていなかった。


 裏切り

「すべての検査が終わったら、ここを離れて知らないところに行こうと思うの。私は今まで孤独だった。もうあなたがいないと生きていけない。誰も知らないところで、二人だけで暮らしたいわ。私のような奇形でよかったら考えてくれないかしら。随分たくさんのお金も貰ったしね。」
彼女の胸は温かく心地よかった。豊かな胸に抱かれながら、萎えた彼女のペニスを触るのが私は好きだった。
「私もどれほどあなたを愛しているか。私の身体は普通でも、自分がお腹を切るのを想像して萌えるなんて、私は心の奇形なの。思い切って打ち明けた相手もいたけど、みんないつかいなくなった。影で私を変態だと言っているのを聞いて何度も打ちのめされたわ。私は心を閉ざしてきた。私だって孤独だった。あなたは切腹フェチでもなかったみたいね。何度かのプレイで気が付いたわ。でも、嫌がらずに私にあわせてくれた。」
「私はあなたを愛している。あなたが望むならと・・・。でも、私ももう切腹で萌える身体になっているわ。今はあなたと切腹したいと思っている。もう私にはあなたしかいない。あなたのいない世界は考えられないわ。」
彼女は私を抱き締めてくれた。彼女はすべてを解放して愛してくれている、私のすべてを認め信じて。私にとっても彼女は唯一絶対の存在になっていた。

私はその時、どれほど彼女に酷い事をしていたか気が付いた。彼らは彼女を利用していただけだった。心では化け物と軽蔑しているのを彼女は気がついている。しかし私には心を開いてくれた。私が彼らの仲間だと知ったら、どんなに傷つくかと思うと心が痛んだ。彼は私を変態だと言った。彼らはきっと彼女も私も同類にしか見ていない。彼女の孤独がわかった気がした。私には彼女の寂しさがわかっていたはずなのに。

許してもらおうなんて、私は考えてはいけなかったのだ。自分に残された道はもう一つしかなかった。これ以上彼女を傷つけてはいけない。償いに私は命を捧げて彼女を守ろう。それは甘美な響きだった。
心で詫びながら、彼女の胸に顔を埋めると涙が止まらなかった。ペニスを口に含む。ペニスが男根となって、私は上になって交わった。隠しカメラの位置を私はもう知っていた。女陰を持つ男根が私の身体と交わっている局部が写されているはずだ。見るがいいわ、こんなに私たちは愛し合っている。どこが奇形なの、どうして化け物なの。私はレンズを睨みつけ、心の中で叫びながら歓喜の声を上げ続けた。


 猟奇心中

「妊娠したわ。私の中にあの人の子供がいる。買ってくれるんでしょ。」
「お前はあいつを愛してしまったんじゃないのか。」
「馬鹿な事を言わないでよ。私の中の受精卵が欲しいんでしょ。幾ら貰えるのかしら。今夜、二人だけで相談できるかしら。」
私は夜の研究室で彼と会った。
「もう、ここには誰もいないわね。私は前からあなたの事が好きだったわ。抱いてくれるなら、お金なんて幾らでもいいの。あんな化け物に抱かれていたこの身体を、あなたの手で慰めてくれるなら。」
私には自信があった。この男が私を見ている目は、飢えた浅ましい狐の目をしていた。
「俺は、お前があの女と抱き合うのを見ながら・・・。」
「そうだと思っていたわ。私だってあんな奴よりどれほどあなたに抱かれたかったか。もう妊娠しているんだから、あなたに抱かれてもいいわね。」
私は仮眠室のベッドに誘って裸になった。
彼も部屋に入って来る。私は彼を脱がしてやった。彼のペニスは彼女のものに比べてもお粗末なものだった。
「知っているでしょ、私は切腹をしないと燃えないの。」
私はバッグから短刀を取り出した。
「ああ、いつも見ていたよ。お前の切腹はとても素敵だった。おれも切腹に魅せられてしまったよ。」
「これはよく出来た模造刀、これであなたのお腹を切らせて。」
「おいおい、本物じゃないんだろうな。」
「いつも使っているものだから心配なんて無いわ。」
膨らみ始めたペニスを握って、私は根元から一気に切り取った。彼は一瞬何が起こったかわからないようだった。股間から血を噴き出させて、切り離された自分のペニスを不思議な物のように見た。
「どうして・・・、あんな化け物のために・・・。」
「彼女は化け物なんかじゃない。」
傷口を押さえて叫び続ける男を、私は前から抱いて思いっきりお腹を突き刺した。
根元まで刺さった短刀を抉るようにして引き抜く。生温かい血が私の身体に降りかかった。彼は私を突き放して、恐怖の目で見ていた。
「叫んでも誰も来ないわ。すべてを消して私も死ぬ。あの人を守るのはこれしかないわ。あんなものを世の中には出させない。」
裸で震える男を何度も突き刺した。返り血が私にかかる。周囲は飛び散る血で赤く染まっていった。

私は窓の外に切り取ったペニスを投げた。周囲に放たれている犬がきれいに始末をつけてくれる。私の部屋を調べれば、この男との情事が綴られたでっち上げの日記がある。きっと猟奇な無理心中と言われるだろう。彼女にだけは関心を向けさせてはならない。


 立ち腹

彼が持っていた鍵の束を持って、誰もいない施設の中を私は血まみれの裸のまま歩き回った。その部屋には、モニター画面が幾つも並んでいた。幾つものボタンを次々に押した。過去の画像が現れる。最初に精液の採取をした時の画像があった。裸のままでヴァギナを開かれ、ペニスをしごかれて、彼女は悲しい顔で堪えていた。哀しく辛い光景だった。自分はこんなものにも酷い事をしていたのか。どれほど悔やんでも許される事ではなかった。
私と愛し合っているところも写されていた。私のいないところでは、寂しい顔の彼女がいた。そこにいるのは神ではなかった、ペニスを持つ普通の女だった。懐かしく恋しく愛しいと思った。一緒にいる私がどれほどに醜かったろう。
私はきっと命よりも大切なものを失くしてしまった。彼女の身体を弄んだ彼らよりも、彼女の心を欺いていた自分を許せなかった。切腹も許されぬほどの過ちを犯したと、私はまた自分を責めた。

彼女の部屋があらゆる角度から映しだされる。浴室トイレも例外ではなかった。寝室には何台ものカメラが設置されていた。彼女は寝室にいた。裸で大きな鏡に向かって立っている。スイッチを切り替えると、鏡の裏から彼女の全身が映しだされた。お腹を押さえている。私がこの前、立ち腹を見たいと言ったのを思い出した。
「きっこ・・・。」
スピーカーから私の名を呼ぶ声が聞こえた。私の事を思いながら彼女は立ち腹を切っている。白い内腿に愛液を滴らせながら、草叢からそそり立つ男根を握り締めている。映し出される男根は逞しく巨大で、もう限界に達しているのがわかった。
これほどに私を想ってくれていたのに。涙が溢れて止まらなかった。すぐにも側に行きたかった。
「エリカ、エリカ・・・。」
叫んでも私の声は届かなかった。
美しい乳房が腰が手の動きにつれて揺れ、恍惚の表情が映し出される。私も指を使っていた。
私はスピーカーのヴォリュームをいっぱいに上げた。
「ああ、きっこ、きっこ・・・逝く・・・。」
彼女の懐かしい声が部屋中に響き渡る。
「エリカ、エリカ・・・。」
白く美しい花が画面いっぱいに散った。

用意してあった油をすべての部屋に撒く。資料の置いてありそうな部屋には入念に撒いた。全ての部屋を開け放って廊下に油を流して火が伝うようにした。部屋に戻るとライターで火を点けた。一気に廊下を火が走ってそれぞれの部屋に入っていく。どの部屋からも真っ赤な炎が噴き始めた。階段を火が走るのを確かめて部屋に戻る。血まみれで男が倒れていた。
壁に背を立てて立つ。手には血塗れの短刀を握っていた。彼女の立ち腹を思ってお腹に突き立てた。激痛が全身を走る。思い切って引き回した。足元に血が滴る。
「あうううう・・、エリカ・・・許して・・・許して・・・。」
はらわたが覗き始めているのがわかる。抜き出して臍の上に突き刺す。脚が震えて倒れそうになる。身体を反らして両手で一気に切り下げた。十文字に裂かれた腹からはらわたが溢れだして足元に垂れた。両膝をついた。もう、部屋全体が炎に包まれていた。


  殉死

マスコミは猟奇な無理心中と騒ぎ立てた。男がペニスを切られて女が切腹した事を安部定の事件と関連付けてもっともらしく解説し、女の腹切りもいろいろな角度から説明を加えた。女の部屋から発見された日記や切腹関係の資料も紹介された。誰一人、その施設でどんな研究をしていたかという事に関心を払わなかった。

事件の後、彼女からの手紙を受け取り、私はすべての事情を知った。彼女の手紙は深い悲しみと謝罪に満ちていた。裏切られた苦しさよりも私には彼女を失った悲しみの方が大きかった。
「どうして一人で逝ってしまったの?一緒に逝こうとどうして言ってくれなかったの?あなたは私をまた一人ぼっちにしてしまった。償いなんていらなかった。私はあなたの全てを許せたわ。」
立場が逆ならどうしたろうと考えた。愛する人のために死ぬ。やはり私も同じようにしたかも知れない。こんな自分のために死を選んでくれた人がいたと思うと、失くしたものの大きさを思わずにはいられなかった。彼女のいない世界では私は単なる奇形でしかなかった。もう孤独なままで生きていたくはなかった。私は萌えなくなっていた。どうしても濡れなかったしペニスはただのペニスにすぎなかった。彼女のいないところでは、私はまさしく女にも男にもなれなかった。
事件の夜、私は突然鏡の前で自慰をしたいと思った。それも彼女が望んでいた姿で。あの後、鏡の後ろにカメラがあったと知った。あの時の私は、確かに彼女の目を感じていた。これが最後になるかもしれない予感と共に。

自分はどうすればいいの?殉死しかないんだわ、きっと。そうだ、私は彼女への愛を確かめるために切腹する。これまで何度も惨めな気分で死のうとした、一人ぼっちで生きているのが嫌になったから。今は彼女がいる世界に行きたいと思う。死ぬと決めると、不思議なほど幸せな気分になれた。こうなる事はわかっていた。だからこんなに清々しい気分になれた。

エリカは壁に背を預け、長い間胡座を組んでいた。いつか前に懐かしい顔があらわれた。
「来てくれたのね、私の気持ちも見届けてね。」
両膝立てて前を寛げお腹を撫ぜた。冷たい短刀の刃を滑らせる。両手で深く突き立てた。ゆっくりと引き回すと腰から痺れるような痛みが広がってゆく。
「愛しているわ、あなたをこんなに・・・。」
右まで裂いて刃を抜き出す。脚を投げ出して見下ろすと、割かれた腹から血が湧き出し、血に濡れた男性器が雁首を持ち上げていた。
「あなたも殉死する?」
優しく握って根元に刃を当てる。彼が頷いたような気がした。ひと掻きすると真っ赤な血が噴き出して根元から落ちた。女陰に当ててやるとゆっくりと中に潜り込んでいく。やがてすっぽりと中に納まった。私自身が彼女だった。やっと一つになれたと思った。静かだった。血が流れ出して意識を奪っていく。苦痛はなかった。全てが夢だったのかもしれないと思った。目を瞑ると真っ白い静寂の世界にいた。彼女に優しく包まれている。溶け合って一つになる。やがて、エリカは安らかな眠りに落ちていった。


    完
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by kikuryouran | 2006-04-14 09:35 | 同性愛 | Comments(0)

SF公開切腹


軍事法廷

「当軍事法廷は、艦隊二級士官・岩下由紀に対し、公開切腹を命ずる。被告は国民の信頼を裏切り敵に通牒した。スパイは軍人として卑劣極まりない行為であり、被告は民衆全ての前で謝罪し、命を以ってその罪を償わなければならない。」
被告席の女は頷いて深々と礼をした。

21XX年、日本は一時人口の減少から大量の移民を受け入れ、凶悪犯罪の増加をみた。乱れた倫理を正すために刑法の改定が進められて、残酷峻烈な処刑が行われるようになっていた。特に軍務に就く者には厳しく、日本古来の切腹刑を復活させ、男女を問わず適用された。

「いよいよ明日、お前は処刑場に引き出される。10万人も入るスタジアムは満員になるそうだ。お前の切腹は、すべてのメディアに公開されて国民全てに配信される。介錯は許されていない。切り口は25センチ以上、深さは4センチを超えて切る事。それに満たない場合は切腹とは認められない。これは検視官3名が判定する。万一卑怯な振る舞いや切腹果たせぬ場合は、お前の家族を引き出して処刑する事になる。」
所長は椅子に座って、明日の説明を書いた紙を読みながら私の顔を窺う。私は手錠をかけられ起立して聞いていた。後ろに監視官が二人付き添っている。
「お前は入場時、軍服の着用を許されている。お前は自分の罪を衆目の前で認め謝罪する機会を与えられる。全ての証票を切り取られ、軍服を切り裂かれ脱がされる。それから手錠を外されて切腹の座に着いてもらう。上半身は傷口を確認するために下着も許されない。腰から下は許されているが、絶命後は剥ぎ取られ裸で晒される。女には酷なところもあるが、これは男女同じ扱いで、切腹の傷を明らかにするためである。」
わかったかというように、所長は顔を上げて私の顔を見た。
「これまで非公開で切腹した者は何人かいるが、公開の場で切腹した女はいない。立派にし遂げるんだな。今夜が最後の夜だが望みはあるか。できることなら聞いてやる。」
意味ありげに笑いながら、彼は私を見ていた。

昔は短刀を使用したが、今では切腹はレーザーソードで行われる。直径3cm、長さ30cmぐらいの円筒形が一般的なものだ。鋼製の刃物は無くなって、刀剣武器に替わったのがレーザーソードだ。最少長さ1cmから最長2Mくらいまでも手元のスイッチで刃の長さを調整できる。重さは約500g、刃は方向性が無く鋭利で先は鋭い。押し付けただけで特殊に硬い物以外はズブズブと切り、刺せる。刃長を示すために青い可視光線に包まれているが、刃の厚みは0に近い。軽くて、短刀にも長剣にも使用できる。
切腹の方法は、ソードの刃先長さを切り込み深さに調整して腹に刺し込む。刃厚はないので針を突き刺したような痛みしかない。そのまま横に引けば肉が割かれて傷口が開く。
センサーを使えば内臓を傷つけずに引き出したり、薬物と併用して苦痛を調整する事もできるようになった。切腹自決する時は、各々の状況によりいろいろなパターンが実行に移されていた。しかし、処刑に代わる切腹となると、苦痛を軽減するような処置は認められなかった。


スキャンダル

艦隊二級士官・岩下由紀24歳、軍務に就いて5年になる。彼女は艦隊指令上層部の妻ある男と恋に落ちた。何度か三人の話し合いが持たれて、彼の妻は離婚に応じた。その夜、男の妻が由紀をスパイだと告発し切腹自殺を遂げた。マスコミはスキャンダルとして騒ぎ立て、由紀は軍の取り調べを受けなければならなかった。
「マスコミは容赦なく書きたてている。女が命を捨てて証拠を持ち込んだ。潔白を証明できなければ、お前はスパイとして処刑される事になる。」
何枚もの写真を見せられた。彼女は見事にも凄惨に腹を割いて、腸を引きずり出していた。血だまりにうずくまる背が哀れにも美しいと思った。彼女の死に顔には悔しさが滲み、切り口から溢れた腸は私への憎悪を感じさせた。私は女の悲しみと自分の犯した罪の重さを悟らされた。
巧妙に捏造された証拠を見せられて、私は全てをさとり、覚悟しなければならなかった。彼女は命懸けで完璧な罠をかけ、奪われた夫への愛に殉じたのだ。私は毎夜のように彼女の哄笑する夢を見た。『自分はこんなにも彼を愛している、あなたには決して彼を渡さないわ。』お腹を割きながら、彼女は私への恨みを叫び続けていた。
私は、どちらの愛が強いのかと挑まれていた。あなたが彼への愛に殉じるなら、私だって彼への愛はあなたに負けない。あなたの恨みの罠を受けて、私は罰を受ける。いいわ、私も切腹してあげる、あなたの望む通りに。
私は黙秘を通し、証拠を否定しなかった。
「切腹させて下さい。」
それだけを言うともう一言も喋らなかった。

私の房に男が訪れた。私は、最後の夜をこの男と過ごしたいと所長に頼んだのだった。
「朝までだ。」
それだけ言うと看守は外から鍵をかけた。
「会いたかったわ。来てくれたのね。」
しばらく見詰め合って、二人は狂った獣が喰らい合うように抱き合った。監視のカメラも気にせず求め合い交わった。きっとモニターには看守が釘付けになっていたろう。
声を殺しながら飽くことなく昇り詰め、横たわる互いのすべてを唇で確かめた。とろとろとしたまどろみと虚脱の中で裸で抱き合い、私は男の胸に顔を埋めていた。
「よく来てくれたわね。最期に会えてよかったわ。」
私は彼の顔を飽かず眺めた。私はきっとこの男を手に入れるために切腹する。
「私は罪を犯したわ。あの人をあんなに苦しめた自分を許せない。あなたを愛したのが罪なら、どんな罰でも喜んで受ける。スパイとして刑を受けても、私はあなたへの愛を確かめるために切腹するの。」
男は私を見て、そして黙って抱きしめてくれた


処刑場

翌朝、私は処刑場に送られた。
この処刑場は最近出来たばかりのものだ。凶悪犯罪の歯止めのために、公開処刑は随分前から見せしめとして行われていたが、映像メディア技術の粋を集めて、処刑を人々の猟奇性を満足させるイベントとして行うためにつくられた。
人の性は善、それ以外は異常だと思われている時代があった。しかし、DNAの解析と心理学の研究から、各々の性衝動に含まれる暴力嗜好も個性の一部と認識されるようになっていた。加虐、被虐、各種のフェチと呼ばれた嗜好も今では異常とはみなされていなかった。公にされると、彼等は猟奇な欲望を満足させるために、処刑にいろいろな要求を出すようになった。人々をより満足させる殺戮の演出が考えられ、人々の要求もエスカレートしていった。すでに何人もがここで処刑されていたが、女の切腹は初めてだった。
磔、吊るし首、ギロチンetc、ここで行われる処刑は、それぞれが過去の時代に行われたものとは同じ名前でも質は異にしていた。ここで処刑される者は、死をもって罪を償うだけではすまなかった。命も肉体も残虐猟奇な欲望の生け贄になるという事だった。死体になって陵辱を加えられる事さえもあった。

久しぶりに獄衣から白い軍服に着替えさせられる。スタジアムに連れ出されると、促されて中央に立たされた。武人として切腹する。その時はまだ、誇りを持って死ぬ覚悟が由紀の凛々しさを保たせていた。日本人の血が騒いでいるのかも知れない。幾つもの大型パネルに自分の姿が映されていた。周囲を取り囲むように作られた観客席は人に埋め尽くされている。彼らはすでに狂気の目をしていた。
「国家を裏切った女が、これから全ての国民に謝罪し切腹いたします。」
どこからかアナウンスの声が響き、群集のどよめきの中で、犯した罪と年齢経歴が読み上げられた。
私は周囲を見渡しながら、この群集は何を求めてここに来ているのかと考えていた。すべての目が私に注がれている。謝罪の言葉を求められたが、私は無言で毅然と胸を張った。立ったまま、私は襟、胸元、肩についた士官の証票を剥ぎ取られる。軍服を脱がされ、胸を隠していた下着も剥ぎ取られた。腰ベルトをとられ、ロングパンツも裂かれて脱がされる。屈辱の時間だった。一枚剥ぎ取られる度にどよめきが起こる。最後のショーツだけを残すと、抗議の罵声が止まらなかった。観衆がすべての下着を脱がせる事を求めていた。声に押されるように執行吏の手が最後の一枚に手をかける。一瞬二人は顔を見合わせ、彼はにやりと笑って引きちぎった。
丸裸で立つ私を、周囲から写した姿が何箇所もの大パネルに映される。容赦なく恥部がアップで映し出される。白い肌に黒々とした恥毛が目を引いた。しばらく嘲笑とため息が止まなかった。私は起立して身体の隅々までも隠さず見せるように言われた。


立体映像

私の身体がゆっくりと浮き上がり始め、5mほどの高さで止まった。床も周囲も透明バリヤーで包まれ、全ての角度から写されて瞬時に3Dに組み立てられる。私の動作をそのまま写して、幾つもの巨大な立体映像が投影されて浮かび上がった。観客はあらゆる角度から見ることが出来る。国中のあちこちで、巨大な立体像がリアルタイムに実況されているはずだ。私は不思議な陶酔に包まれていた。今までこれほどの人に見られながら切腹した者はいない。今この瞬間、自分は世界の中心にいた。痛いほどに視線を感じる。すべての男に、女にさえも犯されている気がした。気が昂ぶり、自慰をしたいと思った。身体の中心が熱くなる。

美しい女だった。長い髪に細い顔立ち、鍛えられた身体は女の柔らかさとしなやかさを失わず引き締まっている。白く艶熟して柔らかな乳房、細くも引き締まった腰と豊満な臀部、美しく伸びた脚。恥じ入る様子もなく、死を前にして潔くも凛として立つ姿は神の造形を感じさせる。数十倍に拡大され空中に浮かぶ立体裸像は、秘部さえもが忠実に映し出されている。濃い恥毛、巨大なヴァギナとアヌスが、色までも鮮明に再現されて人々の目に晒されている。すでに覚悟を決めたのか、落ち着いた様子で渡されていたソードの刃を出した。

見下ろすと真下からも撮影しているカメラがあったが、もう恥ずかしさは失せていた。私はソードの刃長を4cmに合わせた。巨大な立体映像も私の仕草を忠実に再現している。
下腹を撫ぜ揉むと全身に汗が噴き始めた。緊張で全身の筋肉が震える。股間の筋肉に力を込めると痙攣しているのがわかる。見上げる観衆には秘部までもが見えるに違いない。見渡すとすべての観衆たちが息を呑んで私を見詰めている。すべてを見られている快感が私を大胆にしていた。
私は足を大きく広げて立ったままソードの刃を左下腹に当てると、一瞬どよめきが消えて静寂が訪れた。私は大きく息を吸い、自分の腹を見下ろしてゆっくりと刃を刺していった。
チクリとした痛みが走って、力を入れなくても刃はゆっくりと沈んでいく。全身に汗が噴き出すのがわかる。3cmほど入って一気に痛みが腹全体に広がる。腹壁を貫いたと思った。思わず呻き声が漏れた。
「うむうううう・・・。」
拡大された私の呻き声がスタジアムに響き渡る。痛みを堪えて柄が膚に触れるまで突き立てる。脚が震えてよろめき、身体を支えられずに片膝をついた。

美しい顔が淫らしくも歪む。秘所の花びら潤い透明な液体が尾を引いて滴った。腸を傷つけたのだろう、絞られた菊花が内から赤く染まっていく。すべての筋肉が痙攣し震えていた。


十字腹

片膝ついて下腹脇に突き立てたソードを握り、女はしばらく動かなかった。両手でゆっくりと横に引いた。激痛が腹全体を締め付ける。唇を噛み締めながら叫ぶのをこらえた。焼けるような痛みに腰が震えた。乳房が小刻みに揺れている。臍の下辺りまで割いた頃には端から傷口が開き始めて血が流れ出す。女にはもう周囲の群衆は目に入らなかった。前に屈みながら、お腹を切り割く事だけを考えていた。ゆっくりと横に引く。鋭い痛みが腰全体を痺れさせた。神経が切断されたのか内股に失禁の尿が滴り始める。由紀の頭の中はもう真っ白になっていた。

豊かな肉付きの尻の谷間にアヌスが固く閉じられ息づいている。黒い繁みに花びらの震えさえもがはっきりと見えた。尿口から失禁の水玉が噴き出す。くさむらが血と尿を滴らせた。群衆がどよめいた。大きく黄色い水玉が足元に音を立てて迸しった。

脇まで届いたソードの刃を抜き出す。見下ろすと、引き割いた自分の腹からすでに腸が垂れ始めているのがわかる。激痛が間断なく襲うが不思議な気分だった。はらわたを引きずりだしたいと思った。ソードの刃を抜き出し、臍の上辺りに突き刺し下に切り下げた。ズズズズーッ、力を加えなくても切り裂かれて腹は十字に開く。ソードは止まらず恥骨を切り女陰までも裂いて、血にまみれた臓物が一気に溢れ出す。ウォーッという驚きの声がスタジアムを覆う。その声を聞きながら由紀はゆっくりと後ろに倒れていった。足元に垂れた腸が空中でぬめぬめと動いていた。

ゆっくりとバリヤーが地上に下ろされた。観客は女の周囲に下りる事を許される。女は両脚を大きく広げ、裂かれて血まみれの股間に溢れ出た極彩色のはらわた臓物を晒していた。白い乳房は美しく盛り上がり、半ば開かれた口は淫らな想像を思い起こさせ、目は開いたまま空の雲を見上げているように見えた。
その後、何日も晒された女を見に来る人々が絶えなかった。メディアは何度も立体映像を流し続けた。

送られてくる映像を見ながら、男は女の仕草を忠実になぞっていた。
「由紀・・・。」
最期の瞬間に男は宙に精を放った。



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by kikuryouran | 2006-04-12 02:57 | 処刑 | Comments(0)

女切腹殉死

「今日が盛り、美くしゅう咲きましたね。」
白のお召しで桜の散るお庭を抜けて、奥方様が離れの座敷にお入りになりました。すでに支度は調うております。旦那様の白木位牌を前に、しばらく手を合わせておられました。
「そなたには最後まで造作をかけましたね。礼を申します。見届けるだけでよい、介錯は無用。」
解き落とされた帯紐を傍らに片付けられ、落ち着いた様子で前を寛げられます。ふくよかながらも武の嗜みに鍛えられて、三十路前の女の盛り、胸乳ばかりが細やかに揺れておりました。懐紙に包まれ、刃先二寸ばかりが冷たく光る懐剣を手に、裾を割られて両膝立ちに腰を上げられ、見下ろす目に険しさが走ります。
「うむううう・・・・。」
気合とも聞こえる呻きと共に刃先沈めて、見事に下腹一文字脇から脇、奥方様は雪の胸元心の臓を貫いて果てられました。女人の最期は美しく終りたいものとは常日頃よりのお口癖、言葉通りにお美しいご最期でございました。

お側では畏れ多いゆえに、私は庭に下りてお供いたします。女ながらも腹切りて死なんとはかねてよりの望みでございました。主に殉死ともなれば誉れの死に時、武家として過ぎたる死に場所でございます。

桜舞い死出の旅路を彩りて、抜き出す懐剣妖しくも光を放ち、諸肌に脱ぎ落とせば白き柔肌はまだ春を知らず。浅ましくも血の騒ぐを止めもならず、未だ固き乳房を我が手に慰めるしばしの未練、降る花の下での喘ぎ恥ずかし。

下腹柔らかな辺り浅くも割いて、苦痛とても尻腰痺れるほどのもの。流れ出す血にしばし朦朧と夢を見る。すでに手はおぼつかなくも仕損じては恥辱の限り。気を取り直し懐紙を解けば刃は九寸五分頼もしく、胸元にあてがいしばしの躊躇いの後に身体を預ける。手に伝わる肉の痙攣と背までも貫く激痛の後に、安らかな暗闇と静寂が訪れる。

柔肌の背に降る花の死に化粧
  

花の下でのしばしの妄想でした。
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by kikuryouran | 2006-04-09 18:10 | 女腹切り情景 | Comments(0)

今夜は一人で・・・

夫が慌しく出て行くと、部屋が急に広くなったように思う。煩わしいテレビを消すと部屋は急に静まりかえった。食卓を片付けてしばらく新聞を眺める。
ベッドのシーツを外して洗濯機を回す。チリ箱に捨てられたティッシュの塊りをゴミの下に捨てた。窓を開け放ってベランダに布団を干す。セックスは嫌いじゃないけど、あの後掃除するのは嫌。やっぱりホテルがいいな。

「私って切腹を見るとなんだかキュンとするの。変なのかな。」
彼に言おうかといつも迷って言い出せない。
「自分が切腹するのを考えると私は燃えるの。わかってくれる?」
きっと彼は不思議な生き物を見るように私を見るに違いない。真面目な男って、夫にするのはいいけど、やはりこんな時はつまらない。ちょっとは浮気でもして、遊びを習ってくればいいのに。
別れた男を思い出す。あーあ、お金はなかったけど、あの男だったら冗談ででも言えた気もするな。惜しかったよなー。

洗い物をしながら見ると、彼は屈託なくテレビを見てる。そんなのが面白いの?早く寝ちゃいな。私は心の中で悪態をついた。包丁を片付ける時、ちょっとゾクッとする。今夜は久しぶりに一人でお手習いをしよう。考えただけでもう濡れてきそう。よし、もう寝かせちゃえ。
「ねー、もう一本呑む?」
彼は嬉しそうに頷いた。
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by kikuryouran | 2006-04-07 03:37 | 女腹切り情景 | Comments(0)