愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
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カテゴリ:平成夢譚( 111 )

ホテルの朝


朝のホテルのレストランは、恋人たちでほとんどの席が埋まっていた。
男も女も、寝不足だとわかる顏だった。
「眠いよ。」と男が言うと。隣りの二人が少し笑った。
「誘っておいて、寝てしまう男なんて最低よ。」
向かいに座る男を女が責めるように睨みつけた。
一人があくびをすると、周囲に次々と伝染していった。



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by kikuryouran | 2015-11-14 23:32 | 平成夢譚 | Comments(7)

最期のお世話


『毎年数万人の方が自死されますが、その数倍の未遂者がおられます。
私どもはその失敗がないようにお手伝いさせて頂いています。
公にはできませんが、毎年数十人程のお客様のお世話をしています。
費用方法等、ご希望に添うように致しますので、ご相談ください。』
ネットに流すとすぐに何人かが連絡してきた。
私は思い直すように何度も説得を試みて、それから待ち合わせる場所を決めた。


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by kikuryouran | 2015-11-13 23:28 | 平成夢譚 | Comments(1)

抱き心地の良い女


美人でスタイルの良い女ばかりが並んでいる。
「鶏ガラみたいな女ばかりだな。」と客は笑った。
痩せた女が良いと言い始めたのはいつの頃からだったろう。
彼は小太りの売れない女を指名した。
彼女は柔らかく温かかった。
「抱くのには、これぐらいが良い塩梅だ。」と彼は女の胸に顔を埋めた。


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by kikuryouran | 2015-11-12 02:54 | 平成夢譚 | Comments(0)

ニューハーフの呟き


男の気持ちはよくわかる。
美しさは並み以上。
女らしさだって負けてはいない。
女ひと通りのことも身につけたわ。
それでもね、シリコンの天婦羅ですから。
喰えないですよねぇ。


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by kikuryouran | 2015-11-08 03:47 | 平成夢譚 | Comments(2)

フェロモン


野球部の部室には、男たちの饐えた臭いが充満していた。
「気を失いそうな酷い臭いね。」
私はその臭いの中で押し倒された。
あれは女を惹き寄せるフェロモンだった。
記憶に刷り込まれたあの悪臭が懐かしい。
あの臭いを嗅ぐ度に、私は青春を思い出す。


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by kikuryouran | 2015-11-07 01:43 | 平成夢譚 | Comments(0)

AVの女


久しぶりに会った彼女は、AV女優になっていた。
「私があなたのことを好きだったって知らなかった?」
彼女は私をホテルに誘った。
しばらくして、彼女と私の盗撮ビデオが店に並んだ。
彼女ははっきりとわかるが、私の顔は隠されていた。
そのビデオは私の宝物になっている。


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by kikuryouran | 2015-11-06 01:32 | 平成夢譚 | Comments(0)

優しい男


彼の高級車は景色のいい道を滑るように走った。
食事も美味しかったし、運転も上手だった。
カップルの車は、恋人たちの休憩所に次々と吸い込まれていく。
私が一度首を振っただけで、彼は通り過ぎた。
私は勝負下着で万全だったのに。
優しすぎる男も困ったものね。


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by kikuryouran | 2015-11-04 04:55 | 平成夢譚 | Comments(0)

最期の男


私は長い間、自分が女だってことを忘れていた。
貴方は最期にそれを思い出させてくれた。
久しぶりのセックスは、初めての時のように緊張したわ。
あなたの腕の中で私は何度も死の擬似体験をした。
そして私は今、自らの手でこの世を去ろうとしている。
ありがとうあなた、私は永遠にあなたのものよ。


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by kikuryouran | 2015-11-03 02:58 | 平成夢譚 | Comments(0)

ホテルのバーで


彼らはカウンターの隅に座って、顔を見ないで話していた。
男はさりげなく周囲に気を配っているのがわかる。
「私は今も愛しているわ。」と女が言った。
女がカクテルを飲み干し、部屋の鍵を置いて席を立った。
男はその鍵を見ながらしばらく考えていた。
彼はグラスを一気に呷って鍵を手に取った。


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by kikuryouran | 2015-11-02 01:18 | 平成夢譚 | Comments(0)

女の嫌々


彼は私を押し倒した。
押さえつけられた私は、彼としばらく見詰め合って嫌々をした。
私は気付かれないように、自分の服のフックを外した。
ことが終わって、泣いている私に彼が言った。
「俺、責任取るからさ。」
「きっとよ。」と私は何度も念を押した。


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by kikuryouran | 2015-11-01 00:26 | 平成夢譚 | Comments(0)