愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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2017年 11月 05日 ( 1 )

皺腹

「皺腹切ってお詫びいたす。」
胸元開いて下腹までも露わにする。
逞しい胸に幾つもの傷痕がある。
年寄り自慢の戦場傷、それぞれの傷に由来話がある。
脇差尺三寸、刃先残して幾重にも布に巻き込み逆手に握る。
片膝立ちに腰を浮かす。
切り割く辺りを確かめるようにしばらく撫ぜて息を整えた。
見守る者の目は一点に注がれた。
一瞬後にはそこが切り割かれて血に塗れる。
誰もが固唾を飲んで待ち構えた。
一気に突き立てる。
刃先沈んで血が滴る。
「うむぅぅぅっ・・・」
苦し気に身体が震え揺れる。
すべての筋肉が硬直していた。
痛みを堪えて横に割く。
「姫様、このように、・・・。」
脇から割いて中程まで届く。
「介錯してつかわせ。」
傍らの女中に姫が命じられた。
薙刀を脇に掻い込み女が庭に下りる。
「爺殿、介錯仕ります。」
「かたじけない。」
脇差を腹に抱えたまま、男は前に屈んで首を伸べる。
薙刀一閃、首は見事に飛んで血が吹き上がる。
頭部を失った身体がしばらく痙攣して血を流し続けた
首は姫の足元まで転がった。
「爺よ、見事であった。」
姫は満足そうに笑みを漏らされた。


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by kikuryouran | 2017-11-05 04:08 | 男のharakiri | Comments(4)