愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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2015年 08月 15日 ( 2 )

殉国の民


敗戦で死に場所を失った人々は虚無感に襲われた。
陛下のお嘆きを、一命を捧げてお慰めしたいと一人の若者が言った。
ニュースで流れたその言葉に共感して、皇宮前の広場に人が集まってきた。
老若男女、彼らは陛下の側で死ねる幸せに浴した。
古式に倣い彼等は国の安寧を祈りながら切腹していった。
殉国の臣民たちに、陛下は慈愛の言葉を贈られた。

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by kikuryouran | 2015-08-15 14:27 | 平成夢譚 | Comments(0)

恋人たち

夕暮れの公園を、私たちは少し離れて歩いた。
私が腕を絡ませると、彼は身体を寄せてくる。
夕闇に包まれたベンチでキスをした。
互いの気持ちを確かめて歩き始めると、私はもう雲の上を歩いているようだった。
彼は私の肩を抱いた、私は彼の腰に手をまわした。
公園を出ると、愛し合うための場所に恋人たちは次々と吸い込まれていった。

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by kikuryouran | 2015-08-15 11:44 | 平成夢譚 | Comments(0)