愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
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姫の介錯

その日、姫が庭に出られると一人の若者が待っていた。
「姫様、拙者に切腹賜りませ。」
「なにゆえそなたに腹を切らせねばならぬのじゃ。」
「畏れ多くも姫に懸想をかけました。想いを断とうとして断てませぬ。御前にて腹を切りとうございます。」
若者は手をついたまま顔を上げた。
「懸想とは無礼な。なれどその命は預かるゆえ、ご奉公に励むがよい。」
しばらく見下ろしてから諭すように言って、姫は胸の懐剣を若者に与えた。
姫とは時の執権北条高時の娘沙耶であった。甘い言葉で近付く者も多い。姫はその若者が何者かを知らなかった。その若者の存在さえもそのまま忘れた。

それから一年の後、鎌倉北条が滅亡する時を迎えた。後世暗愚暴君ともいわれる北条高時だが、彼に殉じて自害切腹した者は七百名とも八百名とも伝えられている。
姫の館にも敵が迫って、守る者は少なかった。
「お父上さまは既にご生害なされた。」
「姫様にも、お心静かにご自害なされますように。」
小者下女は落とさせた。共に死ぬ覚悟の者ばかりが残って門を閉ざした。

沙耶姫は奥の座敷に入った。次の間には一人の女が見守り、残る者は別間に下がった。
「姫さまが無事お仕舞いの後、私どもは館に火を放ちお後を追わせていただきます。」
女は三十路半ばとみえる落ち着いた物言いであった。姫は部屋の中央に座して頷いた。
若い武士が短刀を前に置いて庭に控えた。
「御前にて果てるために参上いたしました。」
しばらく姫は何者かと見ていた。
「おう、あの時の者か。」
懐剣に見覚えがあった。若者は頼もしく、心強く思えた。
「ご生害と承ります。お供のお許しを賜りますように。」
「供を許します。」
「ありがたき幸せ。」
見守る女に姫が声をかける。
「私は腹を切ります。この者に介錯致させよ。」
「そなたに介錯を申し付けられた。」
女が若者に向かって言った。
「そなたの身分には過ぎたお役目なれどご所望じゃ、お受けするがよい。」
「承知仕った。」
若者が座敷に上がるを許されて姫の傍らに控えた。介錯といってもそれは死ぬる介助というほどの意味だった。この頃はまだ自害の作法や介錯の方法は定まっていなかった。
沙耶姫は十六歳、幼い頃から男勝りであった。
抜き出した懐剣を前に置いて帯を解く。肌白く、胸の果実はまだ桃色の初々しさだった。高貴に育った者は、召し使う者に肌を見られることに抵抗がないという。諸肌までも脱ぎ落として下腹大きく露わにした。
「そなた、まだ名を聞いておらぬ。」
「伊豆白田の五郎と申します。」
沙耶姫の母の実家がある所だった。彼はそこの下人であった。歳は二十歳になる。身分違いの恋情ながら懐剣を賜い、姫の御前で死ぬと思い定めていた。

「どのように切ればよかろう。」
何度も柔らかい腹を探りながら姫が顔を上げた。
「ならば拙者が介添え申す。ご無礼仕る。」
彼は後ろで胡座を組み、膝間に姫の尻を挟んで懐剣に手を添えた。片手は支えるように胸を抱く。
見守る女が止めようとする。
「かまわぬ、腹切る手を借りるばかりじゃ。」
姫の言葉に女は座に控えた。
「お苦しみはひと時、お堪えなされ。」
彼は姫の腹に刃を滑らせる。
「五郎、さほどに苦しくはないものじゃな。」
男の息が首筋にかかる。尻の谷間を突き上げるものを感じた。女の芯が熱くなり裾が乱れる。
「こういうものか。」
これが話に聞いていた春情かとおぼろげに姫は気付いた。

五郎は後ろから抱えて姫の悶えを胸で受けた。髪の匂いが鼻孔をくすぐる。喘ぐ声が悩ましかった。淫ら心が目を覚ます。恋焦がれた姫であった。あれほど夢に見た姫を抱いている。彼はもう血が猛るのを抑えられなかった。男の根が勃ち柔らかい尻を突いた。

女は息を呑んで見守っていた。
まさしく覚えある男女の交わる姿と見えた。手を添えられた懐剣を握り締め、姫は腹を切っていた。白い肌が血で染まる。男の腕が胸を抱く。姫が身悶えていた。
「うむうぅぅ、ぁぁぁぁ・・・。」
声は苦悶とも女の春の喘ぎとも聞こえた。男の膝で尻揺らし、裾乱している姫はこの上なく美しいと見えた。胸の谷間に刃先をあてて、まさに最期を迎えようとしていた。
「突け!・・深く!・・」
姫が叫んだ。尻突き出して前に屈む。男が抱き包むように後ろから覆いかぶさる。重なった腰がしばらく揺れていた。

「無礼なれどもよう致した。礼を言う。」
姫を横たえ、奥壷が潤っているのを確かめて女が嬉しそうに言った。
「未通なれど、せめて最期に春を御覧になられた。」
男はまだ呆然と座り込んでいた。
「白田の五郎、もうそなた一人がお側で腹切るがよい。我らは別間にて自害する。」
女は意味ありげな笑みを浮かべて部屋を出て行った。

横たわる姫を見ながら彼はまだ夢をみているような気持ちだった。俺は北条の姫をこの腕に抱いた。顔に飛んだ血を拭いてやる。笑みを浮かべて姫は眠っているように見えた。二人だけに残したのはあの女の情けであろう。離れた部屋から女たちが自害する声が聞こえる。あの女も腹を切ったろうか。火を放ったか戸の隙間からゆっくりと煙が漏れ始めた。
彼は賜った懐剣抜き出し刃先を腹に押しあてた。
「姫さま・・・。」
逆立てた刃にのしかかって腹に突きこむ。激痛が走る。力を込めて切り割いた。

姫は横たわって待っていた。白い脚が開かれて、縮れた草の間から濡れた肉洞が覗く。侵入させると襞が包み迎えた。身体を重ねる。唇を吸い、目を合わしながらゆっくりと奥まで進んだ。互いの陰部が触れ合うのがわかる。
「ぁぁ・・・・ぁぁぁ・・・。もっと深く・・・突け・・・。」
根元まで突き入れる。絡み合い一つになった。二人を温かい光が包んだ。
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by kikuryouran | 2008-03-12 03:57 | 心中情死 | Comments(0)