愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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スクール水着の切腹 2

翌日の二人の成績は惨々だった。
「一緒に切腹しないとだめだわね。」
レイコが力なく言うと、美希もため息をついて頷いた。
「そうですよねぇ。」
「帰りに私の部屋に来ない?二人で残念会しようよ。」
レイコは実家から離れて一人で住んでいる。

美希は初めて彼女の部屋に入った。
「疲れたね、お風呂を入れるわ。入って行きなさいよ。お風呂の後でビールもあるわよ。」
「水着、乾かしていいですか?」
ベランダに二人のスクール水着が並んで干された。
「私はそれに命を賭けてる。」
レイコが水着を見ながら言った。
「美希、あなたの素質は凄いってコーチも言ってるわ。」
「記録も伸びないし、私なんて・・・。」
今日の結果を思い出して美希は肩を落とした。

お風呂の後で缶ビールを飲みながら、今日の予選の話になった。レイコが水泳の話を始めるとキリがなかった。
「切腹なんて冗談ですよね。」
俯いたまま聞いていた美希がポツリと言った。
「当たり前じゃない、負ける度に切腹してたら命がいくつあっても足りないわよ。」
「でも、悔しいです。」
美希の目から涙がこぼれた。
「本当にお腹を切りたい気分です、こんな情けない成績で・・・。」
「そうだよね。私だって・・・。自分が歯痒くて情けなくて、もう泳げない気がするわね。」
二人は黙って下を向いた。
「水泳って自分との闘いなの。負けて責任を取るのは自分しかないのよね。」
レイコはうなだれている美希をしばらく見ていた。
「負けた責任は、自分が罰を受けて償うしかないわ。」
レイコは手に持ったビールを一気に飲んだ。
「よし、切腹しよう。今日の水着で罰を受けるの、いいわね。」
美希が顔を上げた。
「そして明日から生まれ変わって練習するのよ。」
「はい、私も一緒に罰を受けます。」
もう二人とも酔っていたのかもしれなかった。
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by kikuryouran | 2007-10-24 10:10 | 平成夢譚 | Comments(0)