愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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切支丹磔串刺し

共に捕らえられた者のほとんどが踏み絵を踏んだ。拷問され説得されて残ったのは彼女一人になっていた。
「ご禁制の切支丹が露見すれば、死罪は免れぬとはかねての覚悟。どのようにお仕置き下されるとも、『はらいそ』に参れると思えば怖ろしいとは思いませぬ。ましてや、デウス様と同じ磔柱にかけられてとなれば喜びさえも。」
捕らわれてからの牢内は、誰はばかることなく祈りを捧げられる場所であった。女は処刑の日まで祈りを捧げた。

「どんな手段を用いても構わぬ、あの女を泣き叫ばせよ。見る者たちの前で惨めに泣き叫ばせて許しを乞わせよ。磔柱の上で、切支丹であったことを後悔しながら死なせねばならぬ。」
「どのような手段をと申されても。」
仕置き奉行は考え込んだ。

仕置き場までは裸馬に乗せて刑場まで運ぶのが常であったが、女は後ろ手に括られて、裸素足で歩かされた。
「許しを乞えば着物も着せてやる、馬にも乗せてやる。」
恥ずかしいと泣くかと思うと、ゼウス様もこのようにお歩きなされたと祈りの言葉を口ずさんで、誇らしげに女は歩いた。竹矢来に囲まれた刑場は、見せしめのために近在の者が駆り出されていた。
「盗賊二人が、共に仕置きにかけられる。この者らにお前を衆目の中で犯させる。」
女はまだ生娘、泣き叫んで許しを乞うと皆が思った。
「この身を犯して安らかに死ねるなら、お抱きなさるがよい。」
男達は死を前にした恐怖から女を弄び慰んだ。女は盗賊二人に抗うことなく身を任せ、優しく死は怖ろしくないと慰めてやった。
盗賊二人と共に女は裸で磔柱に架けられた。両脇に並んで架けられた男達は槍で幾度も突き立てられ、泣き叫んで無惨に殺された。
「怖ろしいであろう。次はそなたを女陰から串刺しにしてくれる。許しを乞えば、胸一突きに死なせてやる。」
「苦しみ多ければ、ゼウス様に近付けましょう。」
磔柱の上から、女は神に感謝の言葉さえも口にした。槍の穂先が女陰を裂き貫き、ゆっくりと腹から胸を貫いたが、女は苦しげにも祈りを捧げ続けた。喉元から槍先があらわれた時、祈りの言葉が止んでがっくりと頭を落とした。

この地の隠れ切支丹には、女串刺しの像がキリスト像と共に秘かに守り続けられたという。
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by kikuryouran | 2007-01-17 15:22 | 処刑 | Comments(0)