愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

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by kikuryouran
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女の意地


家族だけのお葬式で、私は居場所のない落ち着かなさを感じていた。
『父があなたに遺言を残しました』と、故人の息子が封筒を前に置いた。
数年前まで愛人だった私にあてた遺書と、高額の小切手が入っていた。
私は手紙だけを受け取って席を立った。
喉から手が出るほど欲しいお金だったが、女の意地が受け取らせなかった。
金目当てと私を罵倒した女の前を、会釈だけで私は通り過ぎた。


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by kikuryouran | 2015-09-23 02:20 | 平成夢譚 | Comments(0)