愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
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割腹の立ち会い

「俺は腹を切る。」
中尉はそう言って私を見た。
「結構だと思います。」
私は即座に最敬礼して答えた。
敗戦が決まって、各地で何人もの軍人が自決している。
一般人の自殺なら止めることができる。
しかし軍人のそれは名誉を守る戦いといえた。
「立ち会ってくれるか。」
「光栄であります。」
最期を託すのは最大限の信頼といえた。

その夜、私は中尉の家を訪れた。
都内だが、隣家とは離れている。
遺書が並べられ、支度はすべて整っていた。
飾りのない奥の小部屋で中尉は座した。
私は隣の部屋で見守った。

軍服の上着を脱いで白いシャツの前を開く。
逞しい胸と引き締まった腹があらわれる。
釦を外してズボンの前を開く。
真新しいふんどしから濃い草が覗いている。
「お前は見届けるだけでいい。」
それは介錯無用ということだった。
私は軍刀を側に置き、拳銃も持っている。

刃渡り八寸程の短刀、三寸余り残して布で巻きこむ。
腹を揉み、しばらく瞑目して気息を調える。
前屈みに刃先を下腹にあてる。
突き立てる。
全身が強張り痙攣しているのがわかる。
一気に汗が噴きだした。
「うむむううう・・・。」
苦痛を堪える声が漏れる。
巻き残した刃はほとんど没して、血がゆっくりとひざを濡らしてゆく。
「うぐぐっ、ぐううう・・。」
身体を揺らしながら刃を運ぶ。
それは壮絶な戦いだった。
脇まで届いた刃を抜き出す。
前に崩れてしばらく喘いでいた。

私は自分が切腹しているように思えた。
勃起していた。
膝に置いた手を男根が突き上げる。

握った刃先を胸元にあてる。
すでに意識は混濁していた。
死を完成させるために気力をふりしぼる。
それは崇高で高貴な姿だった。
中尉は逆立てた短刀に身を預けて屈み込んだ。
尖った刃先が背中に突き出て痙攣を続けた。

その瞬間、私の脊髄を快感が一気に駆け上がった。
私はズボンの中に射精していた。
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Commented by 玉梓 at 2011-05-30 10:41 x
拝読しました。女でも殿方のご割腹には深い関心があります。
一つ教えて頂きたいことがございます。それは男子の情感との関連です。
惻隠の情からか、中尉さまのふんどしには触れておられますが、中は大きく勃起していたのではないか、と妄想してしまいます。生物は種の保存の本能から、死の直前、激しく欲情します。人間男女とても同じです。ましてや、腹切りのような情感の高揚した極限ではそうなのではないかと思ってしまいます。
そこで、お臍の下を真横に切るとき、硬直した男性が刃の運びの妨げになるようなことはないのでしょうか。女はそのようなことはありません。殿方が本当になさるところを見たことがありませんので、お教え下さい。また、その場合射精なさるのは、どの時点でしょうか。刃を突き立てた時?割腹半ば?切り終えた時?お止めなさる寸前?などなど、と―

Commented by kikuryouran at 2011-05-31 03:45
お教え下さいと言われても、困りますが・・・。(笑)
腹切りと欲情が結びつくのかどうか。これが結びつかないと、この趣味は成立しません。『腹を切る=欲情する』は事実かどうかではなく、ここでは前提なのです。
読む方の期待・萌えツボは各々違います。お話を書いていると、ピークをどこでどう迎えさせるかは悩むところ。男女によって、その頂点も終わり方も違うでしょう。
玉梓さんのコメントは、この趣味の永遠のテーマかもしれません。
Commented by RYU at 2011-06-22 19:24 x
玉梓さんのお尋ねの、「お臍の下を真横に切るとき、硬直した男性が刃の運びの妨げになるようなことはないのでしょうか。」の件、Youtube にヒントになりそうな動画がアップされていました。harakiri のタイトルで外人(ヒスパニック系か)男性が上半身裸で切腹、と言っても長めのナイフで臍を突くのですが、下着は薄い布なのでやや腰を上げたところで一物が隆起しているのがはっきりわかりました。が、位置的には刀の運びにの妨げにはなっていなかった様でした。日本人の場合は褌をしっかり締めていれば一物は押さえられるし、仮に邪魔になってもちょっとよければ良いのかと思います。切腹中はお腹が痛いことの方がずっと大変なので、さほど妨げにはならないでしょう。
Commented by kikuryouran at 2011-06-22 22:47
RYUさん御意見ありがとう。

う~む、あまり掘り下げる話題でもない気もしますが・・。

この種の性的嗜好がある方という前提にたてば、
その行為に臨んでいる時は、当然噴出態勢に入っていなければなりません。
しかし、お邪魔かどうかは大きさ・角度・硬度等々、きっと個人差があります。
(笑)
場合によってはまず、それを切り落としてから切腹ということになるでしょう。

Commented by 玉梓-2 at 2011-06-23 10:25 x
RYUさまからご連絡を頂きました。有難うございます。
お話はよく理解できます。ただ、私どものような萌え派の者は、加虐の悦びと、被虐の悦びを一人で同時に楽しむことを求めて、至福の時を過ごしております。私どもにとりましては、痛覚もまた、悦びなのです。将に同じその時、切り苛んで悦びに浸っている私がいるからです。
一旦死の覚悟を決めた私どもにとりましては、至福の絶頂を如何に死と調和させるかが究極の憧れなのです。実際に死なないまでも、そのことを考えること自体が至福の時なのです。
Commented by 玉梓ー3 at 2011-06-23 10:27 x
私は切腹は本来、女のものと信じておりますので、殿方のことはよく分かりません。
ところで、殿方の割腹と情念の関わり合いについては、僅かながら具体的事例がございます。まだそんなに古くない事例としましては、昭和46年6月26日に金沢で行われました日本名刀会で切腹されました塚本忠さま(23歳)の例があります。塚本さまは、当日、警護の隙を見て、展示されておりました備中国守作の脇差でなんと、まず、男性自身を掻き切られております。次いで、正宗作の短刀で下腹部を搔き切られ、なおも貞宗の大刀で憤頚されんとする所を取り押さえられております。(病院でご他界になっております)。これは当時の読売新聞や、週刊新潮・文春にも掲載されておりますので、事実であると思います。私が生まれる前後の昔話ですが、このことは、お慕い申し上げております法谷四郎さまの著書に掲載されていたので知っております。
問題は塚本さまが、ご割腹なさる前に、おそらく昂ぶり切っておられたと忖度しますが、男根を思い切りよく切り取られていることです。その直後の正宗の短刀での横一文字のご割腹は、障害もなく、よく切れたことと拝察します。

Commented by 玉梓ー4 at 2011-06-23 10:30 x
また、同じ年の12月26日には、中島信夫さま(23歳)が、東京の靖国神社の大村益次郎の像の前で、小刀で割腹されておりますが、割腹後、やはり男性自身を切断されたそうであります。“お止め”でしょうか?病院でご逝去されております。女性の自身と同様、そこは殿方にとっても急所なのでしょうか。でも“情感”の伝達から見れば、女に較べてお寒いことなのではないでしょうか
実例は兎も角、男の方も、切腹は情念と深い関係があることは理解できますが、理性としては兎も角、感性としては、あくまで想像の域を越えません。この点、女性は恵まれていると言ってよろしいのでしょうか―
Commented by RYU at 2011-06-23 13:43 x
自分は男なので女性の情念の感じ方は想像するしかないのですが。また男性の切腹者である塚本様や中島様の男根切断は、男性の感覚から直観的に想像すると、情念によるものと言うより、強い性的衝動感によるものと思います。塚本様の例は私もどこかで読んだことがありますが、病院でもあまりに激しく腹を切っていたので手の施しようが無かったそうですね。衝動がよほど強かったのでしょう。一時的に急激に盛り上がる激しい衝動、それが性感帯の下腹部と性器を切り裂く行為に走らせたのではないかと。23才という若さも強い衝動の一つの要素と思います。このあたり、女性とは感覚が違うのでしょうか。
でも、自分は男ですが、kiku さんの掌編には結構感じるところがあります。萌えどころの共通するところも多いかと思います。
Commented by kikuryouran at 2011-06-24 05:15
今回話題になった塚本氏の場合は、その動機が純粋に性的衝動と想像されます。
そういう意味では他の多くの事例、歴史的な思想や義務感を動機としたものとは明らかに違う。
男根切断行為は、止めに女陰を抉る想像と情感心情的に同じでしょう。
切腹時に激しい性的欲情を感じて、その源を破壊しようとしたと理解できます。
介錯もなくお腹を切っただけでは、なかなか死ねないものだと私たちは知っている。
すぐに病院で処置を受けながら助けられなかったことから、その傷がよほどに大きかったことがわかる。
衆目の中で切腹し、勃起した自分のものを切断して逝く。
変態嗜好者として心情的美学を感じます。
Commented by kikuryouran at 2011-06-24 05:15
中島氏の場合、選んだ場所から動機は思想的なものだったでしょう。
彼の男根切断が、切腹前から企図されていたものかどうかはわかりませんが、
それによって、猟奇な自殺と思われてしまう可能性がある。
それでは靖国神社も大村益次郎も色褪せてしまう。
やはり切腹の過程で抑えられない性的衝動を感じて自分の男根を切断したと考えるのが自然だと思います。元々性的欲望の昇華から切腹に憧れている心理的素地があったのかもしれない。
女陰止めと共に男根切断も、性衝動的切腹という視点から興味ある話題ですね。

 合掌
Commented by 隆起 at 2013-10-12 15:51 x
切腹や男根切断には、大きな快楽、喜び、達成感がともなっているのではないでしょうか。常識的に考えると、たんなる苦痛でしかないのですが、自分から進んで行う場合、得られるものが苦痛だけならば、とても行えない行為だと思います。確かに苦痛はありますが、苦痛を乗り越えたところに、喜びや達成感、快感があるのではないでしょうか。
by kikuryouran | 2011-05-29 07:13 | 平成夢譚 | Comments(11)