愛と死の妄想  feseppuku.exblog.jp

ショートな妄想フィクションを書いています


by kikuryouran
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姫様ご切腹

「下がっていよ。」
菊姫は厳しい声で言われた。
浜路は名残惜しげに戸襖を閉め、隣室で気配を窺いながらその時を待った。
すでに覚悟は定まっていた。

菊姫は懐剣を前に置いて想いを凝らした。
自分を人質としながら、父は謀反を企てた。
今宵の内に死なねば、この命が足枷となろう。
かねてよりの覚悟、自害に迷いはなかったが死に方で迷っていた。
「女にも腹は切れよう。」
苦痛に恐れはなかった。
仕損じて生き恥をかくことだけを怖れた。
不思議な高揚と緊張感が女の芯を熱くさせた。
「腹を切り死ぬる。」
腹に拳を這わせて覚悟を確かめた。

座して胸元から下腹までも押し開く。
乳房は固くも既に男を知る身体。
下腹切り裂く辺りを指が探る。
間もなく血に濡れて美しく染まる肌。
春情の露置く繁み愛おしくも、慰める夢はひととき。
いつか女陰に指を這わせて、今生の名残りを味わう。

単衣落として腰に纏める。
懐剣をとり膚にあてる。
冷たい刃先が全身を痺れさせた。
のし掛かるように刃を押し込むと激痛が走った。
破瓜の痛みとそれは変わらぬように思えた。
「うむむむぅぅ・・・。」
唇を噛みしめながらも呻きが漏れる。
「あううううう・・・。」
気配を察して隣室の戸が開く。
「お腹(はら)を・・・。」
驚いたように浜路が言った。
菊姫が自害するのはわかっていても、腹を切るとは思わなかった。
「お苦しゅうございましょう。」
「形ばかりじゃ、深くは切らぬ。」
姫が笑いながら言ったように見えた。
「ご介錯を・・。」
「しばし待ちゃ。」
男まさりなお方だが、切腹は豪の者でも介錯なくし遂げるのは難しい。
浜路は部屋に入って控えた。
ご介錯し、自分も死ぬ。
それで自分の役目は終わると思った。
戦国の世であった。
何度も人が死ぬのを見ている。
常住死は身近にあり、ここを死に場所と思い定めればもう怖くはなかった。

浜路は腹切り悶える姫を見ながら、不思議な陶酔に包まれていた。
「もうすぐ自分も死なねばならぬ。」
幼い頃から、自害は喉を裂けと教えられている。
しかし今、姫は男のように腹を切っている。
「女が腹を切れるものか。」
女でも華々しく死ぬことを夢に見る。
絶え間ない呻き声と薄暗い灯りの中で揺れる白い肌。
それは羨ましくも妖艶と見えた。

姫は腰を揺らしながら割いてゆく。
「うむむむううううう・・・。」
夜具は血を吸い、裾乱れて秘所も血に染まる。
「うぐぐぐぅぅぅ・・・。」
やがて脇まで切り割いて懐剣を前に置き傷を確かめる。
「これでどうじゃ。臓腑までは届かぬが・・。」
 血にまみれて傷は臍下を切り割き八寸余り、切腹には充分な長さと見えた。
「お苦しゅうはございませぬか?」
「存外に良い心地じゃ。」
呻きを漏らしながら姫の身体が揺れる。
血が流れ出して姫の意識を朦朧とさせていくのがわかる。
「ご介錯を・・・。」
浜路が後ろから肩を抱くと姫は身体を預けてくる。
「お覚悟!」
抱きしめて乳房の下を刺した。
「ぐぐっっ・・・・・。」
腕の中で姫はもがいた。
抱き締めて深く抉る。
何度も痙攣して姫は動かなくなった。
浜路はそのまま姫をしばらく抱き続けた。

夜明けまでまだ時があった。
姫を横たえて死に姿を整える。
もう後は自分の始末をするだけだった。

隣室に下がって懐剣をとる。
腹切る誘惑に襲われた。
自分には介錯は望めない。
仕損じてはならぬ。
下腹を指でなぞる。
深く切れば臓腑が溢れ出る。
それでも死ねまい。
指が秘所を探る。
濃い繁みの奥に洞が口を開ける。
ここが女の急所、存分に抉れば死ねよう。
女陰深く突き立てる想像をして浜路は笑みを漏らした。
帯を解き、前を大きく開いて懐剣をとる。
彼女は壮絶な女腹切りに挑み始めた。
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Commented by RYU at 2011-05-13 15:29 x
長らく更新がなかったので、kikuさんが本当にお腹を召されたのではないかと心配しておりました。浜路のように、腹切りの誘惑におまけになりませんよう。これからも作品を楽しませて頂きます。
Commented by kikuryouran at 2011-05-14 02:23
RYU様コメント有難うございます。
しばらく更新がなかったので、見ている方がいるのか自信がありませんでした。
こんなに早くコメントいただけるとは・・・。
久しぶりに書いたので思うようにはいきません。
次のものを書けるかもわかりません。

震災被災された方が一人でもお楽しみ下さるとうれしいのですが。
Commented by 玉梓 at 2011-05-15 22:59 x
RYUさまと同じです。長らく御待ちしておりました。
陶酔しました。昂まる浜路の心情が嫋々とした余韻となって残りまして、久しぶりに堪能いたしました。ありがとうございます。
Commented by kikuryouran at 2011-05-16 05:49
玉梓さまコメントありがとうございます。
そうなのです。
この話では菊姫は序章、最後の浜路の心情が本題。
わかって頂けてうれしいです。
Commented by プラダ 財布 at 2013-07-04 23:27 x
カッコいい!興味をそそりますね(^m^)
Commented by kikuryouran at 2013-07-07 10:44
プラダ財布さん、こんなサイトには珍しい名前ですね。
(笑)
コメントをありがとうございます。
by kikuryouran | 2011-05-13 06:06 | 女腹切り情景 | Comments(6)